マツコ・デラックスの友人で徳光和夫の甥、慶応大学出身のインテリ女装家──。そんなふれこみでミッツ・マングローブさんがテレビに登場するようになってから約7年。いまではすっかり独自の立ち位置を確立しミッツさんが、作家・林真理子さんとの対談で、昔の2丁目を振り返った。
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林:ミッツさんはマツコさんと一緒に、いろんなイベントを企画したりしてたんですよね。楽しかったですか。
ミッツ:いま思うとね。当時は客が何人来るか、売り上げがいくらか、締め切りまでにこれをつくらなきゃと、カツカツ、ピリピリ、ドキドキでしたから、そう思う余裕もなかったですけど。
林:そういうイベントにお客さんがたくさん来て、テレビ局の人にも知られるようになって、それでタレント活動をされるようになったんですね。
ミッツ:そう。だから宴会芸みたいなウチらの芸を誰かが宴会でマネしてるかと思うと、世の中の変化の速さを感じますね。
林:でも、ミッツさんのマネは身長がないと難しいかもしれない。マツコさんは太った男の人がカツラをかぶればできそうだけど。
ミッツ:そうなんです。私はキャラクターにしにくいの。テレビに出始めのころは「キャラを立たせるために帽子かメガネでもしたら?」って先輩に言われたんだけど、それをしないのが私が狙うすき間産業だと思ってるんです。だから髪形やファッションもそんなに定着してないし、持ちギャグも定番のセリフもないでしょう。
林:そう言えばないですね。
ミッツ:そこがむしろ私のウリなのかなと思ってます。じゃないと、ビジュアルやキャラクターにインパクトのある、他の人たちにかなわないですよ。
林:2丁目には今もときどきいらっしゃるんでしょう?