福岡国際マラソンで粘りを見せる川内優輝 (c)朝日新聞社
福岡国際マラソンで粘りを見せる川内優輝 (c)朝日新聞社
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「最強の市民ランナー」と言われた川内優輝(28)が崖っぷちに立っている。

 リオ五輪の選考会を兼ねた15年12月の福岡国際マラソンで、本命視されながら日本人上位3人以内にも入れず、五輪代表選考対象から漏れた。

「(力を)出し切って負けるならしょうがないけど、なんで……。10キロ手前で左ふくらはぎにしびれがきてしまい、そこで終わってしまった」

 日本勢トップの3位だった佐々木悟(30)から約4分遅れの8位で、日本人では4位。2時間12分48秒とふるわなかった。

 15年夏の世界選手権は「日本人トップで8位入賞なら五輪自動内定」という条件下で該当者はゼロ。残る選考会は、2月の東京マラソンと3月のびわ湖毎日マラソンで、日本陸連は自動内定を設けず、各大会の日本人上位3人を候補とする。2時間6分30秒を基準とし、記録や内容を総合的に判断し、五輪での活躍が期待される選手を選ぶという。

 一般にトップランナーのレース出場は多くても年2回程度。年間10以上のフルマラソンを走る“鉄人”川内は、福岡から2週間後の防府読売マラソンでも2位に終わったが、3月のびわ湖に一般参加で出場する意向を示しており、一発逆転の可能性もある。

 複数の選考会に挑戦して設定タイムに到達しないと、最初のレースが評価対象になる。川内の場合、「6分30秒」を切ることが絶対条件だ。自己ベストが2時間8分14秒なので、かなり厳しい。とはいえ、他の有力選手にとっても「6分30秒」の壁は厚い。川内が残る選考会で日本人トップのタイムを出せば、選考は思わぬ物議を醸しかねない。

週刊朝日 2016年1月15日号