法的にはデジタル遺品はどのような扱いになるのか? 弁護士の千葉直人さんによると「通常の遺品同様、原則的には遺族に相続されます」。ただし、ここで立ちはだかるのが、第三者によるID・パスワードの不正な使用を禁止した「不正アクセス禁止法」。「ID・パスワードを使用するサービスの利用契約を家族が相続すれば、家族は第三者に当たらないと考える余地があります。しかし、契約を相続できるのかは約款や規約で規定されるべきことですが、現段階では明記していないサービスが多いのが実情」と千葉弁護士。パスワード解除サービスを提供している「ルクシー」でも、法的な対処については弁護士と相談しながら進めていく考えだという。

 また、パスワード解除などでデジタル遺品の内容を確認する場合、相続人全員の了承を得た上で開示することが重要だ。「ネット銀行の口座など資産が見つかることがあり、見つけた人がほかの相続人に報告せずに勝手に自分のものにしてしまうケースも想定できるためです」(千葉弁護士)

 萩原さんは、「デジタル遺品は目に見えないものだからこそきちんと整理しておくことが重要」とし、「何を残し、何を伝え、何を処分するのか。家族に知られたくないことは墓場まで持っていく覚悟と責任を持つべきです」とアドバイスする。

 思い残すことなくあの世に行くためにも、家族を傷つけないためにも。思い立ったが吉日。「デジタル終活」始めてみませんか?

週刊朝日 2016年1月1-8日号より抜粋

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