“山の神”の降臨や突然の失速、涙のリタイア──。1月2、3の両日に行われる箱根駅伝は、幾多のドラマを生み出してきた。今回は2連覇を狙う青山学院大の戦力の充実ぶりが目立ち、東洋大と駒澤大が後を追う構図だ。注目の選手たちに迫った。
* * *
各大学の注目の選手を見ていこう。青学で神野と共に“4本柱”を形成する猛者(もさ)がいる。今夏のユニバーシアードのハーフマラソンで優勝した小椋裕介(4年)、そこで11秒差の銀メダルだった一色恭志(ただし・3年)、前回の1区で区間2位だった久保田和真(4年)。
その青学を突き放して全日本を制した東洋を引っ張るのは、主将で30キロの日本学生記録保持者の服部勇馬(4年)。弟の弾馬(はずま・3年)も9月のインカレ5千メートルでケニア人留学生を破って優勝し、全日本の3区区間賞でMVP賞に選ばれた口町亮(3年)と共に注目株だ。
駒大では、前回5区で低体温症に陥って大ブレーキとなった馬場翔大(しょうた・4年)の走りが見逃せない。箱根の借りは箱根でしか返せない。彼の雪辱はなるか?
また、1年生ながら期待されているのが駒大の下(しも)史典、山梨学院大のドミニク・ニャイロ、順天堂大の塩尻和也。特に「留学生の中でも際立って速い」(前出ベテラン記者)と評判のニャイロがいる山学大は、3強以外で往路をかき回しそうな存在だ。
陸上担当記者が「今回は特別」という箱根。それは青学の一色、東洋の服部兄弟らが今回の箱根を走ったあと、リオ五輪出場も狙っているからだ。
「学生時代に五輪にトライできるのは幸運で、おまけに次は東京五輪。箱根から世界へというドラマもお見逃しなく」(同前)