プロゴルファーの丸山茂樹氏は、ゴルファーとして一番難しい年齢は40代前半だとこういう。
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男子ツアーの最終戦を残して、宮里優作(35)が初の賞金1億円超えを果たしました。9月中旬から非常に調子が上がってきて、シーズン後半はすばらしい成績でしたね。最終戦前でトップ10が9度ですか。立派ですよね。
1億円云々ってのは、実際には「あ、初めてなんだ」という驚きの方が強いですね。それぐらいいっててもおかしくない、常にトップ10にいてもおかしくないような実力だと思いますから。大器晩成じゃないですけど、これから40代以降へうまく持っていってほしいです。しっかり宮里優作というプロゴルファーの力を見せてほしいですよ。
まだ35歳だから、一番難しい41、42歳までにまだ6、7年あります。その間に何度も今年のように賞金王争いをして、トップをとれるようにやってくれたらと思いますよね。
いやあ、僕自身もそうだけど、まわりの人を見てても、41、42歳ってのは非常に難しい年齢なのかな、と。統計をとってみたら、実際にそんなデータが出るんじゃないかと思うぐらいですよ。
急激な体力低下とか、視力低下とか、そういったものが束になって襲いかかってくる年齢なんです。厄年ですからね。昔の人はよく言ったもんだなと思います。日本ではゴルファーの間でも「厄年だからしょうがないよ」なんて言葉は結構あちこちで聞きます。
アメリカには厄年なんてないですけど、結局は向こうでも同じ傾向で。だからアメリカのシニアツアーにあたるチャンピオンズツアーの参加資格を45歳からにした方がいいんじゃないか、なんて話はしょっちゅう挙がってますよ。
今回の遼の負けとは直接関係ないんですけど、僕はあの試合は苦手だったんですよね。
初日、2日目の折り返しで、決まって少し待たされるんです。日没の関係上、早朝からスタートしてるんで、折り返しで調整するんです。それで40分、50分ぐらい待つんです。リズムが途切れちゃう。
その間はボールを打ったりできないですし。5年前には桑原克典(46)が素振り用のクラブを振って失格になったこともあります。ゴルフ規則にある「ラウンド中の異常な用具の使用」で。難しいです。
先日はテレビのお仕事で、障害を乗り越えてゴルフに取り組む小山田(こやまだ)雅人さんに会ってきました。2歳のときに右腕を切断して、さらに38歳のとき、脳腫瘍(しゅよう)を患われたんです。
左腕だけで270ヤードも飛ばすんですから、もう驚きですよ。練習場で打ってるところを見せてもらいましたけど、かなりいい球が飛んでました。
ゴルフはパラリンピックの正式種目には入ってないんですよね。小山田さんはゴルフを正式種目にする活動にも、必死で取り組んでいらっしゃいます。
去年は日本で第1回の世界選手権が開かれました。ここからまた一歩一歩前進して、パラリンピックの正式種目まで到達されることを祈っています。
※週刊朝日 2015年12月18日号
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