ワールドカップ優勝などさまざまな最年長記録を塗り替え、“レジェンド”と呼ばれるスキージャンプの葛西紀明。丸山茂樹氏は彼のゴルフを「全部のプレーを見てみたい」と興味を沸かせる。

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 テレビのスポーツバラエティー番組の収録に参加してきました。「ニアピン対決」「パター対決」なんかがあって、僕は解説役だったんですけど、そこにスキージャンプの「レジェンド」葛西紀明さん(43)がいらっしゃってたんです。

 去年のソチでの大活躍も記憶に新しいところですけど、オリンピックで銀メダル2個、銅メダル1個とってますからね。さすが、ゴルフも上手でした。それに相当好きなんだなというのが伝わってきました。打つまでのリズムがいいです。スポーツ全般に対する才能を感じさせられました。

 今回は断片的なシーンだけだったんで、彼の全部のプレーを見てみたいなと思いました。それで「ぜひ一度ご一緒しましょう」って、連絡先を交換させてもらいました。同年代だし、仲よくなれたらと思って。

 それに葛西さんみたいに発信力のある人が「ゴルフって面白いですよ」なんて言ってくれたら、いいイメージを持ってくれる人も増える。そうなっていったらありがたいなあ、とも思いましたね。まあ「今度一緒にジャンプを」って訳にもいかないじゃないですか。ハハハ。ゴルフだったら一緒にできるんでね。

 
 話は変わりまして、国内メジャー第3戦の「日本オープン」(10月15~18日、兵庫・六甲国際GC東コース)は小平智(26)が逃げ切って優勝。2013年の日本ゴルフツアー選手権に続く国内メジャー2勝目で、日本ツアー3勝目でした。

 日大の後輩なんで、まずは辛口でいきますけど、彼の能力があれば、もっともっと安定した成績を残せるはずなんです。まだゴルフが荒っぽいです。それでもね、メジャーという難しいセッティングの大会で2勝目ですから。こういう舞台で力を発揮できるのは素晴らしいと思いますね。

 彼の身長が172センチなんで、僕は「こだいら」じゃなくて「チビだいら」なんて呼んできたんですけど、もうそんなふうに呼べなくなっちゃいましたね。小さくてもパワフルなゴルフもできます。もうちょっと集中力を継続して高めて、コースマネジメントの面も頑張ってくれたら。でも我慢強くなったし、楽しみです。

 日本オープンに勝ったことで5年シードが手に入って、海外挑戦がしやすくなりました。でも「さあ、アメリカ」ってのは甘い考えだと僕は思うんです。最初はスポット参戦でいい。

 まだ国内3勝ですから、日本で優勝を重ねて自信をつけながらスポット参戦して、「自分は本当に海外で通用するのか」を見極めていけばいいんです。ほんとに力があれば、スポット参戦でもシード権がとれますから。そうなったら本格挑戦に切り替えればいい。

 早くも米PGAツアーの新シーズンが開幕しました。開幕戦の「フライズドットコムオープン」(10月15~18日、米カリフォルニア州シルバラードCC)で松山英樹(23)は17位、岩田寛(34)と石川遼(24)は予選落ちでした。遼のコメントが気になってるんです。

 最近また「自分のアドバンテージはドライバー」という発言が目立つんですけど、米ツアーの厳しいセッティングで戦うには、コースマネジメントに徹するべきです。「攻めるゴルフ」ばっかりだと、リスクが大きすぎますから。

週刊朝日 2015年11月6日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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