毎週板前が寿司を握りにくるホームに、眼下に眺望を楽しめる部屋があるホーム――。こうしたハイクラスな施設では、“老後の不安”という言葉が無縁にも感じられる。本誌の調べでは、有料老人ホームに入居する際にかかる費用は、一人月額平均15万円以上(5年入居時)。高額なところでは、月額100万円を超える施設もある。
高齢者住宅に詳しい有料老人ホーム・介護情報館館長の中村寿美子さんは言う。
「費用は、地価や建設費、インテリアなどに大きく左右され、贅(ぜい)を尽くせば天井知らずです」
やはり相当な資産がなければ、幸せな老後は送れないということなのだろうか。
「サービスの質はお金では測れません。『ホテルライク』と謳うホームに入って、入居後に『イメージと違った』と悩むケースも多い。人と人との温かい交流や、職員によるこまやかな心配りがある施設を見極めたいものです」(中村さん)
◇サクラビア成城
東京都世田谷区成城8―22―1/入居一時金:1億395万~3億8645万円/月額費用:33万円
周囲の高級住宅街に溶け込んだ外観、絢爛なエントランスホール、ロココ調を思わせるサロン、どれをとっても高級ホテルのようだ。庭園を眺められるレストランでは30種以上のメニューを楽しめ、本格的な寿司を食べられるカウンターもある。シアタールームや24時間態勢のクリニックなど、設備、環境、サービス、いずれも一流。入居には最低でも一人1億円強が必要で、富裕層に人気だ。
◇ザ・レジデンス神戸舞子
兵庫県神戸市垂水区海岸通11―97/入居一時金:2860万~3540万円/月額費用:16.4万円
瀬戸内海を前面に望み、明石海峡大橋が淡路島へと海をまたぐ。ホームからビーチへは、わずか十数歩というロケーションのよさで、入居者を訪れる人も楽しい。入居者同士のコミュニケーションも活発で、麻雀や卓球などを楽しむ姿も。その一方で、読書や陶芸など個の世界に没頭する環境も整う。忙しく過ごすもよし、自分の時間を謳歌するもよし、多様な過ごし方が保証されている。
※週刊朝日 2015年10月30日号