「読み取り機の導入のコストなどが大きな問題となる。読み取り機の導入に補助金を出すとしたら、税金を還付したいのに税金で補助することになり本末転倒。仮に自費で設置するとなると、大型小売店と比べて体力のない中小零細の小売店では、導入が遅れるのは火を見るより明らか。結果、客は大型店に流れ、町の零細小売店は潰れてしまうでしょう」
マイナンバーを活用した軽減税率の導入による日本経済への悪影響は大きい。中原氏はさらに続ける。
「後から4千円を還付されるとしても、買い物したお店のレジで払うのは10%。これではいわゆる『痛税感』が残ってしまい、消費に影響が出るのは間違いないでしょう。また、全国民1人あたり4千円を給付すると国は5千億円を超える支出となります。読み取り機の設置なども合わせると、多額の税金が使われることになります。事後に配るくらいなら、事前に配ったほうがいい」
ただ事前給付の場合は、貯蓄に回ってしまうという懸念があるが、「それなら消費増税分を還付する“期限付き地域振興券”にするなど、いくらでも方法は考えられます」(中原氏)。
※週刊朝日 2015年10月2日号より抜粋