そもそもマイナンバー制度は、国籍を問わず、住民票を有するすべての人に付与された「12桁の個人番号」を使って行政を効率化し、国民の利便性を高めようとするもの。10月から氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーなどが記載された「通知カード」が住民票の住所に送られる。マイナンバーは、年金や生活保護などの「社会保障」、税申告などの「税」、被災者支援などの「災害支援」の三つの分野のなかで、法律で定められた行政手続きにしか使うことができない。今のところ、民間利用はできないことになっている。
ジャーナリストの斎藤貴男氏が批判する。
「先の麻生発言は、“自分が日本の支配者”と勘違いしている本音を漏らしたもの。マイナンバー制度は、人間を番号で監視して奴隷化するに等しい所業で、神様にだって許されない行為です」
斎藤氏は、今回の財務省の還付案だけを見ても課題ばかりと指摘する。
「所得に関係なく1人あたり一律年4千円を給付するという案を軸に検討されていますが、買い物記録を集約する『軽減ポイント蓄積センター』の新設や小売店への端末設置補助などのインフラ整備に約3千億円を投じる方針です。この初期投資のほか、今後、維持費に莫大かつ永続的なコストがかかるのは確実です」
※週刊朝日 2015年10月2日号より抜粋