関東・東北地方を突如襲った記録的豪雨。10日に鬼怒川の堤防が決壊し、茨城、栃木、宮城の3県で計8人の死者を出す惨事となった。
今回、被害をもたらしたのは、南北500キロ、東西200キロという広範囲で、積乱雲が帯状に連なる「線状降水帯」だ。長時間にわたって大雨を降らせた。これは首都圏の住人にとってもひとごとではない、と指摘するのは、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏だ。
「今回の雲がもう少し南にずれていたら、首都圏も被害に遭っていたかもしれない。昨今の気候の変動で、昔では考えられなかった大水害が、高い確率で起きるようになってきている」
実際、内閣府の中央防災会議が2010年にまとめた報告書「首都圏水没」には、恐るべきシミュレーションが示されている。首都圏を流れる利根川、江戸川、荒川の3川の堤防がすべて決壊した場合、浸水区域内人口は実に約663万人。浸水深は最大5メートル以上で、死者数は利根川氾濫(はんらん)の場合、最大で約6300人、荒川氾濫では、墨田区、江東区などを中心に最大約3500人にのぼると想定されているのだ。
荒川の堤防が決壊すると、周辺の家屋が流されるのに加え、都心ならではの被害が想定される。前出の渡辺氏がこう語る。