パリコレにも出た人気モデルと、人気ファッションブランドの創業メンバー。現在はタレントとして活躍する林マヤさんと、野菜文化研究家として活動する笛風呂タオス夫妻は、バブル期の結婚当時、時代を象徴するスタイリッシュなカップルだったが、やがて1億円に上る借金を抱え、自殺まで考えたことも……。
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夫:結婚後、僕は会社を辞めて、彼女の勧めもあって、ファッションフォトグラファーになったんです。彼女のマネジャーとしていろんな撮影現場についていって、プロのワザを盗んでね。
妻:そのうち私も、モデルとしてやりたいことはもうないな……なんて思い始めた。年齢を重ねていくと、だんだん、かっこいいだけの仕事は来なくなるんです。家庭的なキャラクターが求められる仕事が増えていく。それを「そんなのモードじゃない!」って突っぱねて。
夫:家電メーカーから年間800万円っていう破格のオファーが来たときも、エプロンがイヤで断ったね。
妻:「私を誰だと思ってるの? 林マヤよ!」なんて。
夫:僕もまたバカでね。そんな彼女を「かっこいい~!」って(笑)。
妻:そのうちに、ショーのBGMをきっかけにジャズをやりたくなっちゃって、「ジャズシンガーになります」って宣言しちゃった。
夫:プロモーション写真やビデオをこだわりまくって撮りました。デモテープを配ったら、うちからCDを出しませんか?っていうレコード会社も現れて。91年にはアルバムも出しました。
妻:撮影用のアクセサリーを買うだけのために、アメリカまで行ったりね。
夫:でも、ライブツアーのスポンサーが付かなくて。全国20カ所の会場費、移動費、人件費、打ち上げまで、全部自腹。