50歳、会社員。「定年までまだ10年ある」と、老後のプランを先送りにしている人もいることだろう。しかし、その10年が勝負なのだ。夫は会社員、妻は専業主婦の50歳家族をもとに、今後40年間の家計や資産のゆくえをシミュレーションしてわかったのは、いま家計を立て直さないとその先に待っているのは“下流老人”という現実だ。
「会社員家庭では、50代前半に金融資産残高がマイナスになる『破産の危機』が訪れる可能性があります。収入がほぼ頭打ちになる中、子どもの大学進学や住宅ローンの返済などで支出が膨れ上がり、家計を圧迫するためです」
こう話すのは、ファイナンシャルプランナーの藤川太さんだ。金利の高い時代に組んだ住宅ローンや年齢とともに上がる生命保険料、私立大学に通う子どもの教育費など、思い当たる人も多いことだろう。
しかし、藤川さんはこうも言う。
「50代は人生最後の『貯(た)め時』でもあります。ここで意識を切り替えて、『お金が貯まる家計』への体質転換ができるかどうかが、老後の運命の分かれ道です」
お金が出ていくまま無策の50代を過ごしてしまった夫婦2人、子ども2人の「転落家族」の家計を、49歳から40年間にわたってシミュレーションした。
私大に通う2人の子どもの教育費がかさみ、400万円あった預貯金も50代前半で底をついて家計は赤字に転落。退職金でいったん残高は1千万円を超えるが、すぐに食いつぶしてしまい、年金生活に入る前から残高は再びマイナスに。以降は雪だるま式に負債が増えていき、89歳で2400万円超の大赤字を抱えてしまった。50代のうちに手を打っておかないと、こんな悲惨な老後が待っているのだ。