プロゴルファーの丸山茂樹氏が、アマチュアながら全米オープン行きを決めた中学3年生に期待を寄せる。
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いやあー、うれしいニュースが飛び込んできましたねえ。マルジュニアで優勝経験のある中学3年生が、なんと全米女子オープン(7月9~12日、米ペンシルベニア州ランカスターCC)出場を決めました!
その名も山口すず夏さん(14)=神奈川県相模原市立鵜野森中3年。6月15日にあった日本最終予選会(出場枠は6)で参加86選手中2位タイに入り、この予選会からはアマチュアでただひとり、アメリカ行きを決めたんです。日本人としては最年少出場だっていうから、たいしたもんですよね。
山口さんは2012年の第3回丸山茂樹ジュニアファンデーションゴルフ大会で、小学校5年・6年生の部(女子)を制しています。僕は当時、表彰式で声をかけただけで、プレーまでは見てないんですけど、そこにいてくれたってことが本当にうれしいですね。
そりゃあ14歳でいきなりアメリカのメジャーに出るんですから、厳しい戦いになると思いますよ。彼女にしてみたら、まさに未知の世界ですから。いい経験を積んでくることを目標にしたらいいと思います。すてきな切符を手に入れたと思いますよ。
山口さんが夢について、こうコメントしてました。「20歳ぐらいまでに賞金女王になりたいです。ツアーでいっぱい勝って、世界ランキングを上げて、東京オリンピックに出たいですね。そして金メダルをとりたいです」
やっぱり彼女たちの世代はもう、オリンピックを目標のひとつにしてるんですよね。前回のロンドン大会まで、長らくオリンピックにゴルフ競技はなくて、イメージわかないかなあとも思ってたんですけど、日本はオリンピックを一大イベントとして見ますからね。小中学生でもオリンピックにはリスペクトに似た気持ちを持ってる。だから、自分の頑張ってるゴルフでオリンピックに出られるってのは、とんでもなくハッピーなことなんですよね。
僕としても、オリンピックへ行けるような人材を育てていけたら、と思ってます。でも、「丸山茂樹のゴルフ塾」みたいなのをやるつもりは一切ないんです。
子どもたち側から収益を得るような形になるんだったら、僕はやる意味ないと思ってるんです。それを無償でやるとなると、今度は僕の時間がなくなる。そうじゃない形で何ができるかと考えて、ゴルフ大会とキッズチャレンジを開催させてもらってます。
ゴルフ大会はジュニア世代の試合を1試合でも増やし、経験値を上げてもらうため。キッズチャレンジはレッスン会というよりも、子どもたちに現役のプロゴルファーと触れあってもらい、あこがれを強くしてもらう機会になれば、と。
ジュニアゴルファーを育てるのを商売にはしたくない。僕の考えに共感していただける方の輪をどれだけ広げていけるか。それが今後の課題ですね。
※週刊朝日 2015年7月3日号