オンライン証券の大手、マネックスグループを率いる経営者として、ビジネス界で知らぬ者はない松本大さん。昨年はテレビ東京の人気キャスター、大江麻理子さんとの15歳差婚でも話題になったが、作家・林真理子さんとの対談で、講談社社員だった父のことを語った。
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林:そもそも松本さんは、東大の法学部を出てソロモン・ブラザーズに就職したんですよね。当時、東大を出てソロモンとかゴールドマン・サックスとかに行く人、いなかったでしょう?
松本:すごく少ないです。まだ採用し始めたばかりでしたから。
林:ふつうは官僚とか銀行ですよね。
松本:あるいは総合商社とか。そういう時代でしたね。
林:当時はバブルですから、東大法学部の学生さんといったら、リクルート、すごかったでしょう。高級料亭に連れていかれたりして。
松本:僕は自主留年して大学に5年いたんですけど、5年の夏に外資系証券会社の面接を受けて、決まったので握手をして、それっきりどこにも行かなかったんです。
林:そうなんですか。そのときからつまらない日本の常識や規範みたいなものが嫌いだったんですね。
松本:親父の影響が大きいですね。僕が幼稚園のとき、何か悪いことをして親父に「なんでこんなことしたんだ」と言われて、「先生がいいと言ったから」みたいなことを言ったんです。そしたら「おまえは教師が人を殺せと言ったら殺すのか」って、烈火のごとく怒られて。親父は昭和9年生まれの東京下町の人間で、空襲も受けてるので、自分の頭で考えずに一方的に何かを信じて動くのが大嫌いだったんです。僕はそれを植えつけられて育ったので、ずっと問題児で。小学校も2年生で退学になってるし。