「承服できません」。古舘伊知郎キャスターが血相を変えた古賀茂明氏の“報道ステーション降板事件”。「政府の圧力」発言は自民党による事情聴取に発展、議論を呼んでいる。本誌連載で安倍政権への疑問を書きつづける作家の室井佑月氏が、その真相について斬り込んだ。
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古賀:「報ステ」はある意味、数少ない政権批判もちゃんとしてた番組で、信じたんだけど、ここで変わっちゃいますよと言いたい。今までいい番組ができていたのは、プロデューサーが社内で闘いながらめちゃくちゃ頑張っていたんです。テレビ局政治部らが何をやってるかっていうと、「紙(資料)くれ」です。政治家、官僚にもらった紙をそのままパソコンで打ち直し、記事を出す。(元財務官僚の)高橋洋一はヤギって呼んでたね。ヤギ記者。いつも政治家、官僚に気を使い、「報ステ」でこんな放送されたら政治部がもう取材できなくなるから、ここは削ってくれとか言ってくるわけね。それをはねのけながら毎日、「報ステ」を作っていたからニュースの質が非常に高かった。でも、騒動後、その質は落ち、古舘さんのコメントも逃げが多くなった。
室井:でもさ、あんまり古舘さんを責めたらダメじゃない? 私は古賀さんを応援しているけど、この騒動で古舘さんと古賀さんのケンカになっちゃうのがすごく嫌なの。古舘さんだってある程度までは頑張ったじゃん。今まで古賀さんを応援してくれていた人たちを攻めて、敵になってしまうのは悲しくない? それは間違いだと思う。
古賀:古舘さんは基本的には、被害者の側にいるんです。一連の圧力を受けている中での、同じ被害者仲間なんですよ。
室井:中間管理職だもの。
古賀:ずっとみんなで一緒に戦ってきたつもりだった。僕が1月23日の放送で最初に「アイアムノットアベ」と言った後も、古舘さんとは全然、ケンカもしてないし、仲良しだった。
室井:「もっと言え」くらい思ってたかも。
古賀:「もっと言え」までは言わなかったけど、でも「いいこと言ってくれましたね」と反省会でも言ってくれるわけですよ。
室井:でも、古舘さんってすごい大きな看板で、彼はその下の人たちのことも考えて仕事をしないといけないでしょう。