学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版]Amazonで購入する
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 高校2年で学年ビリ、偏差値30弱から、慶應義塾大に合格した“ビリギャル”こと、小林さやかさん。彼女の受験奮闘の様子を描いた本はベストセラーとなり、その本を原作とした映画の公開も迫る。母親とともに綴った新刊も話題だ。その受験生時代を、改めて振り返ってもらった。

*  *  *

「高2まで、『せいとくたこ』と読んでました」

 聖徳太子のことだ。

 発行部数65万部のベストセラーとなった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(以下『ビリギャル』)の主人公、小林さやかさん(27)は、当時を振り返って苦笑する。

「すっげえ勉強が苦手で、成績は学年ビリ。中学入学以来ほとんど勉強していなかったから、当時は小学生レベルの学力だったと思います」

 名古屋市にある私大付属の中高一貫の女子校に進んださやかさんは、系列以外の大学への進学を考え、高2の夏、母親にすすめられた個別指導塾に足を運んだ。そのときの格好はといえば、髪は金髪で濃いメイク。スカートは限界まで短かった。そんな彼女の入塾の面談を担当したのが『ビリギャル』の著者で、塾講師の坪田信貴さんだった。

「最初に、坪田先生に『夢はなんですか』と聞かれました。考えたけど、特にない。先生と話すうちに、『慶應大に合格すること』が私の夢になりました。でも、自分の成績を考えれば到底行けるとは思えなかった。ただ、夢は大きいほうがいいと思って。慶應目指して勉強すれば、どこかの大学に受かるんじゃないかと」

 面談の翌日、学校で「慶應受けることにした」と言いふらした。

「ネタですね。そう言えばウケると思って」

 さやかさんの予想どおり、先生や友達は大笑いした。その日から塾の夏期講習に通い始めたが、友達とショッピングやカラオケに行ったり、プリクラを撮ったりと、遊びもやめなかった。

「高2の夏は勉強も遊びも頑張った。勉強は坪田先生のすすめで、できないところまで戻りました」

 漢字の読み書きは小4レベルのドリルから始めた。英語は『Aクラス選書 中学生の英文法』(昇龍堂出版)などの教材を使い、中学英語の復習から始めた。日本史はとっつきやすい漫画のシリーズを読み、歴史の流れをつかんだ。

「学習計画を立てて、簡単なものができるようになってから次の段階に進みました。私があまりにも漢字や言葉を知らなかったから、毎月、坪田先生が指定する本を読んで感想文を書き、添削してもらいました」

 最初に、「君にぴったりだ」とすすめられた本は、山田詠美の『ぼくは勉強ができない』。それから『蟹工船』『蜘蛛の糸』『ハリー・ポッター』『14歳からの哲学』など、次々と“課題図書”を読んでいった。

「勉強して少しずつわかるようになり、問題が解けるようになるとおもしろくなった。いやいや始めた読書も楽しくなりました」

(庄村敦子)

週刊朝日 2015年3月27日号より抜粋