
3月10、11日に行われる今季初の“侍ジャパン”強化試合、対欧州代表戦がさっぱり盛り上がらない。そもそも2月上旬、小久保裕紀監督(43)が12球団のキャンプを視察したときから「疫病神扱いだった」と評すベテラン記者の解説。
「各チームとも、野手はいいとして、シーズンの開幕カードで登板予定のエース級を直前の花相撲に持っていかれたらたまらない、というのが本音なんですよ」
事実、今の日本球界最大の注目株・日本ハムの大谷翔平投手は投手としてはもちろん野手としても選ばれなかった。
「候補に名前が挙がっていた某投手なんか『出ないといけないですか』と迷惑そうでした。この時期は皆、開幕に照準を合わせてますから、光栄だけど、そんなことしてる余裕がない、って感じでしたね」(同前)
こんな反応は想定内のはず。なぜ、この時期に試合なのか?
「オールスターのころが最適なんですが、日本野球機構の貴重な収入源を減らしたり、なくしたりできないんですよ。といってオフにもできないから、シーズン直前と直後の3月と11月しかない。これは12球団の合意ですから、ジレンマですよね」(スポーツ紙デスク)
投手陣は予想どおり、中継ぎ中心の選考となった。
「2試合しかしないのに投手の数(10人)が多くてねぇ。来てもらったら使わなきゃいけないでしょうから小刻みに交代させてくでしょうけど、それじゃ腰を落ち着けた強化の場にはならないですよ。若手中心メンバーになったのに、本当に呼んでほしい西武の森友哉捕手なんかが選ばれてない。西武はサービス精神がなさすぎですよ(笑)」(前出のベテラン記者)
各球団がエース級を出し渋った理由はほかにもあった。試合相手だ。当初予定していたキューバに断られ、やっとブッキングした“欧州代表”が何とも微妙な顔ぶれなのだ。
「WBCに出ていたオランダやイタリアが頭に浮かぶでしょう。でも、メジャー所属の選手は出ないので2A、3Aと国内リーグからの選抜です。『レベルの低い相手の試合にウチの選手を出すのは二の足を踏む』と某球団関係者が言ってました」(同前)
発表された欧州代表メンバーで聞いたことがある名前は昨シーズンまで楽天にいたAJこと、アンドリュー・ジョーンズぐらい。
「今も所属先が決まらない(2月28日現在)AJがいちばん有名なんだから、実力は推して知るべし」(同前)
前途多難のようだ。
(取材=本誌・小倉宏弥、森下香枝/黒田 朔)
※週刊朝日 2015年3月13日号