頭にコサージュの花をつけ、上目遣いでとんがらせた口を突き出す……。杏が演じる“アヒル口”ヒロインの強烈なインパクトで、始まったのは“月9”の「デート~恋とはどんなものかしら~」(フジテレビ系)。1月スタートしたドラマのなかでも初回視聴率14.8%(関東地区、以下同じ)とリードした。専門家たちもそのおもしろさを認めるが、その理由とは。
東大大学院卒、内閣府の研究所で働く国家公務員で「超合理主義者」のヒロインと、自称「高等遊民」で母に頼りきった生活を送る長谷川博己演じるニートが結婚相談所で出会い、デートする。結婚したばかりの杏と国仲涼子が出演というだけあって、縁起も演技もよかった、らしい。
テレビコラムの連載を持つライターの吉田潮氏もビックリしたようで、
「“月9”で“デート”だとチャラチャラしたものをやるのかと思っていたら、切っ先鋭い言葉の嵐で、膝を打ちました」
最初のデートで、生殖能力は正常か尋ね、「仮に勃起力に難があったとしても現在の医学は進歩しているから健康な精子さえお持ちであれば(アヒル口)」と言い放つ主人公には、
「ムニャムニャもどかしい恋愛はもうどうでもよくて、40超えた中年にはこれだけ振り切ったほうがおもしろいと思えるんです。男女がお互いの条件や要望を最初から相手にたたきつけるって、すごく素晴らしいことだと思いました。胸がすくどころか、なんだこれは!と。結婚していても、していない人にも教訓がちりばめられています」
脚本は「リーガルハイ」などで注目を集める古沢良太氏。自身初のラブストーリーとなったが、まくしたてる台詞の応酬のおもしろさはさすがだ。“おネエ”映画ライターのよしひろまさみち氏もこう話す。
「『リーガルハイ』でも、堺雅人や新垣結衣が『台詞がおもしろすぎて、僕らは読むだけでも十分成立する』と言っていました。今作も、ブレーク中の杏と、ヘンテコな役がより引き立つ長谷川博己を据えていて期待できます」
※週刊朝日 2015年2月6日号より抜粋