「ドラマ好きにはたまらない」クールとなった今期ドラマ。人気脚本家から期待の若手俳優など注目作が目白押しなのだ。
一方、ネットなどの辛口評価の集中砲火を浴びているのが「美しき罠~残花繚乱~」(TBS系・木曜)だ。一大ブームを起こした昨年の「昼顔」を、見るからに意識した不倫もの。イケメン俳優の肉体美で視聴者を惹きつけた前例に倣ってか、ドラマのポスターでは村上弘明と青柳翔が、はだけたシャツから胸筋を見せていた。民放連続ドラマの主演は7年ぶりという、浦島太郎状態の田中麗奈を据え、初回視聴率は6%と撃沈。テレビコラムの連載を持つライターの吉田潮氏は「『昼顔』の演出が古いバージョン」と言い切る。
「田中は演技がうまいと思っていたのですが、勘違いだったのかな、と。こんなこと言っては大変申し訳ないのですが、他のドラマで声がかからなかった人を集めちゃいました、みたいな感じでキャストが地味な上、なんで村上演じるクズみたいなオッサンのために、あそこまで敵意むき出しで女が闘うのか……」
“おネエ”映画ライターのよしひろまさみち氏も呆れる。
「田中と、EXILEファミリーの中では最もイケていて、役に入ると妙にいい男に見える青柳翔はまだいい。しかし、村上と若村麻由美は舞台演技で若手との協調性ゼロ。『これは私の舞台、見てください!』と言っているようで、昼ドラかと見まごう陳腐な感じがたまりませんでした。狙っているとは思いますが、空回りではないでしょうか」
カフェレストランの店長なのに、不倫相手が自宅に来ると毎度「おでん」でもてなす主人公に、機嫌を損ねるたび爪を噛むという古典的なしぐさの不倫相手の妻。ネット上で突っ込みコメントが続出したのが功を奏したのか、ドロドロした愛憎劇の需要があるのか、あるいは青柳のムキムキ裸効果か、第3話の視聴率は7.5%に微増した。
女の闘いでは、“白い大奥”最高級セレブ病院が舞台の堀北真希主演「まっしろ」(TBS系・火曜)も、
「女子ドラマなのに女子の役者が弱い。起こる事件の数々が突拍子もなくて、まったく共感できない。男性にとってはナース姿が見られるという下心もあるのでしょうけれど。表情筋があまり動かない堀北真希の、肉食女子っぽい演技はちょっと怖くて引いてしまう。むしろ病院ホラーのほうがよかったんじゃないの」
と、よしひろ氏は手厳しい。
「○○妻」と同じ枠で“夫妻対決”と注目されていた「残念な夫。」(フジ系)も、残念なことになった。
「あの美しい顔の玉木宏が、残念な夫を演じるという設定にすごく期待していましたが、違う方向の“残念”でした。もっとアクの強いものをやってくれると思っていましたが、アンケートでとった“残念な夫”の表面上をさらっただけのような設定。だったらヤフー知恵袋のほうがよっぽどおもしろいわって」(吉田氏)
※週刊朝日 2015年2月6日号より抜粋