桜蔭(撮影/写真部・大嶋千尋)
桜蔭(撮影/写真部・大嶋千尋)
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東洋英和女学院(撮影/写真部・大嶋千尋)
東洋英和女学院(撮影/写真部・大嶋千尋)

 首都圏の大学の医学生、Aさん(23)は、東京で“女子御三家”といわれる難関の私立中高一貫校、桜蔭(文京区)出身だ。2004年の入試で合格した。そのときのAさんの進学先には、桜蔭のほかに、もう一つの選択肢があった。

「女子学院にも合格していたんです。自由な校風の女子学院もいいと思いましたが、将来は理系に進みたかったので、やはり志望通り桜蔭を選びました」(Aさん)

 多くの学校では、入試日は毎年同じ日に設定されている。御三家の桜蔭、女子学院(千代田区)、雙葉(同)は、いずれも例年、2月1日に入試があるため志望者は分散する。通常なら、Aさんのように併願するのは不可能だ。

 ただ、2月1日が日曜日となる年に異変が起こる。キリスト教の教義で「安息日」である日曜日に、キリスト教系、とくにプロテスタント系の女子校の一部が入試の設定を避け、翌2日にずらすためだ。

 その結果、例年はできない競合校との併願ができるようになったり、併願校が合わせて試験日をずらしたりするため倍率なども変化し、入試図が一変する。これがサンデーショックで、04、09年に次いで、今年がその年にあたる。

“御三家”では、プロテスタント系の女子学院が、入試を2日にずらす。東洋英和女学院(港区)のA日程、立教女学院(杉並区)も同様に入試日を移行する。

 その結果、例年は同一試験日なので受験できない女子学院と、桜蔭、雙葉という“御三家”の併願も可能になる。

 進学事情に詳しい森上教育研究所の森上展安代表は、

「サンデーショックと言いますが、難関校を目指す受験生にとっては、いつもは受けられない学校が併願できる“サンデーチャンス”ともいえます」

 と言う。進学塾大手、サピックス広報・企画部の広野雅明部長はこう話す。

「桜蔭と女子学院では、偏差値が高い桜蔭が第1志望の子が多いので、両校合格すると桜蔭に進む人が多い。女子学院が第1志望の場合は、あえて桜蔭にチャレンジするより、安全志向の併願が好まれるようです」

週刊朝日 2015年1月30日号より抜粋