御厨:かなり、分水嶺(ぶんすいれい)まできている感じです。今回の評価はCで。

松原:変わって野党第1党の民主党。海江田万里代表は敗北し、議席も11しか増えませんでした。

御厨:3ケタには届かないと。そこまでいけば次の展望も開けた。

松原:1月に代表選があるので、海江田さんの呪縛からようやく抜けられるけど、憲法改正、集団的自衛権でまとまれるかは疑問。

御厨:代表選は岡田克也前副総理や細野豪志元幹事長の名前が挙がっている。岡田さんはプラスアルファが全然ない。またか、という感じ。それに暗すぎる。

松原:小泉さんの郵政選挙のときに、民主党代表で大敗したイメージが強いですよね。細野さんは軽すぎて、みんなを統治していく力があるか疑問です。

御厨:相変わらずそういう人たちしか出てこないというのが民主の悲しさ。評価はD。よっぽど頑張らないと、今後は評価すらできなくなる。

松原:続いて維新。健闘して1議席減でとどまった。

御厨:「自民300議席超」という報道で、これはマズイと維新に投票した人が多かったと思う。自民はイヤ、民主にも入れたくない。ならば消去法で維新と。

松原:小笠原諸島に押しかける中国船が9月下旬から急増しました。あれは維新にもプラスだったと思います。中国にモノを言える強いリーダーが必要とされる機運があった。今回でいえば安倍さんと橋下さん。

御厨:橋下さんへの期待はそれなりにあるんだと思う。

松原:評価はBマイナス。

御厨:続いて8議席から21議席に躍進した共産党。他の野党がだらしないことと、政策が徹底していることが評価されたと思う。「消費税10%中止」「集団的自衛権の閣議決定の撤廃」。とにかくブレない。

松原:経済政策では大企業の内部留保を賃上げに回すべきだと主張していた。実際、内部留保は問題になっている。投資しないことが日本経済の足を引っ張ってますから。

御厨:9年ぶりに不破哲三前議長(84)も街頭演説に立った。うれしそうでしたよ。共産は名前さえ変えたら、もっと躍進すると進言しているんだけど、志位和夫委員長はかたくなに「変えません」だって(笑)。名前を変えてフツーの人が入ってくると困るんですよ。

松原:政策力を含めて今回はB評価です。

週刊朝日 2015年1月2‐9日号より抜粋