15日午後、党本部で記者会見し、衆院選での落選を受けて代表を辞任すると正式に表明した民主党代表の海江田万里氏(65)。比例復活も果たせず「完全落選」。元首相の菅直人氏(68)は最後の475人目で滑り込み。全体での議席を少し伸ばしたとはいえ、東京で小選挙区当選は長妻昭氏(54)のみで、首都圏は壊滅状態だった。海江田氏の落選で、ようやく党代表選のゴングが弱々しく鳴った。
海江田氏は公示日、「党の仲間のために、全国を回ります。自分のことは考えません」と強気だったが、中盤の情勢調査で、自民の山田美樹氏(40)になんと10ポイント近く負けていることが発覚すると、「仲間」のことはほったらかしにして、連日、自らの選挙区に入った。商店街で、「自民党が勝つと、安倍さんに白紙委任を与えてしまうことになる。集団的自衛権、特定秘密保護法、もっと議論をしなければならない!」と拳を振り上げた。
しかし、地元は冷ややかだった。通りかかった男性会社員は「お前が言うな、ですね」と苦笑い。買い物中だった女性からは「うるさーい」と言われるなどカリスマ性はゼロ。党代表が比例復活もできない前代未聞の事態となった。
党本部で会見した海江田氏は当初、「私は党のことを考えて一生懸命やってきた」と無表情で語り、進退を問われると、「さあ、どうでしょうかねぇ」と逃げるように席を立った。落選が決まり、ようやく代表辞任を表明したものの、その男気のなさで詰めかけた報道陣を呆れさせた。
一方、菅氏も元首相とは思えない戦いぶりだった。公示前、元幹事長の細野豪志氏(43)に「鳩山・菅さんの政党ではない」と公言され、応援弁士もごくわずか。街頭に立てば、「お前が戦犯だ。うるせー」と、震災後の不手際に怒る辛辣なヤジが飛ばされた。
ようやく当確が出たのは15日午前3時過ぎ。よろよろと事務所に現れた菅氏は「申し訳ない」と頭を下げたが、「有権者の反応をどのように受け止めるか」と問われると、「どういう意味ですか」と報道陣に対し、懲りずにイラつく場面も。バンザイなしで早々に会見を打ち切った。このとき事務所に来なかった伸子夫人に、翌朝直撃すると、
「スリルよ。いよいよダメと覚悟はしていました。もう68歳だし“やれやれ”という気持ちもあったのですが(笑)。私は早く寝て、2時ごろ目覚めたら菅は『まだわからない』と冷静。私はもう疲れたから『もう行かない』と言って、また寝ちゃったんですよ(笑)」
海江田時代がようやく終わり、党内はすでに代表選モード。日本大学の岩渕美克教授(政治学)は、民主党にこう注文をつける。
「多くの人が与野党拮抗の中で政治が行われることを望んでいます」
※週刊朝日 2014年12月26日号