参院議員を辞職し、衆院大阪11区から出馬した自民党の佐藤ゆかり氏(53)。11月29日、枚方駅前で初めての街頭演説に臨んだ。「真の保守政治を実践します。自民党は地方を創生する政策に力を入れている。元エコノミストの佐藤ゆかり、つかってください」
ゆかり氏は2005年の郵政選挙で岐阜1区から出馬(比例復活)。09年衆院選は東京5区で落選し、10年の参院選全国比例区で復活した。その後は衆院への返り咲きを狙い、今春には山形3区からの出馬を画策したこともあった。
同僚の参院議員があきれながら言う。
「衆院のほうが注目度も高いし、副大臣や常任委員長などへの出世も早いので、戻りたかったんでしょう。大阪11区は元職の井脇ノブ子氏が出馬を見送ったため、地元の市議らが後継を探していた。ゆかり氏は渡りに船と飛びついたのです。参院の任期は1年半以上残っていたのですが……」
上昇志向の塊のようなゆかり氏。先月末、地元関係者が決めた事務所の場所を「気に入らない」とダメ出し。別の関係者がゆかり氏のためにセットした集会に、30分以上遅刻するなど、大阪でも“大物ぶり”を発揮している。
「11月21日には大阪市内で出馬会見が開かれ、終了後、新聞各紙の写真撮影があったのですが、何度言っても、歯を見せながら『ゆかりスマイル』を振りまく。こんな写真、掲載できるわけないと各社カンカン。1週間後、再び撮影会がセットされました」(府庁関係者)
その撮影会の場でも記者たちに「私なら、11区(枚方市・交野市)の住民生活を向上させられる」「衆院議員のほうが地元に密着でき、私に合っている」と語り、記者をア然とさせた。
11区には前回、9万3千票と圧勝した維新の党・伊東信久氏(50)や、民主党の元官房長官・平野博文氏(65)らが出馬しているが、当選できるのか。
地元ジャーナリストは「11区は維新の評判がガタ落ちで、ゆかり氏の圧勝もあり得る」と指摘する。
「ことし8月、交野市選出で当時、維新所属だった山本景大阪府議(34)が中学生と『LINE』でトラブルとなり、大きな批判を浴びました。しかも『維新から離党しろ』『イヤだ』の泥仕合が1カ月以上も続いたため、維新の評判は急落。そのあおりを伊東候補が受けています。民主の平野さんは熱心に地域を回っていますが、知名度もあり公明党とがっちり手を組むゆかり氏が、一気に抜け出すとみています」
投開票日、ゆかりスマイルが見られるのか。
※週刊朝日 2014年12月12日号