前回の衆院選山形3区では、14選を目指した自民党の加藤紘一元幹事長が、無所属新人で前酒田市長の阿部寿一氏にわずか1465票差で涙をのみ、政界を去った。
「阿部さんは市長を13年務めるなどエネルギッシュ。一方、加藤さんは体調を崩し、満足に演説もできなかった。落選後、支援者に『三女の鮎子を頼む』と頭を下げていたのが印象的でした」(自民党関係者)
山形3区の自民党支部長は、衆院へのくら替えを目論む佐藤ゆかり参院議員も色気を見せていたが、地元県連がブロック。今年8月、晴れて加藤鮎子氏(35)が支部長となった。
事務所は父が長年使っていた鶴岡市内のものを引き継ぎ、周囲には「父の分も頑張っていきます。国会で仕事をさせてください」と挨拶して回っているという。
鮎子氏は鶴岡市生まれで、慶大卒業後はコロンビア大に留学。財団法人の日本国際交流センターに勤務するなど、国際派だ。野田聖子衆院議員の秘書経験もある。
先月27日には都内で政治資金パーティーも開催。父親の代からの支援者200人を前に、「世界を見渡すことができる大木のような政治家に成長したい」と抱負を語った。
「緊張からか、挨拶が2分ほど中断してしまうハプニングもありましたが、それはそれで可愛かったですよ。旦那さんはエリート証券マンでしたが退職して山形に移り、2歳の長男と妻を支えている。紘一さんの体調がまだ思わしくないので、余計に頑張っているみたいです」(支援者のひとり)
その紘一氏と最も親しかったのは自民党幹事長の谷垣禎一氏。実は鮎子氏は11月初旬の段階で、ちかく解散があることを知っていたという。谷垣氏が鮎子氏に直接、解散日程を伝えていたともいわれている。今後は応援にも駆けつけるだろう。異例の短期決戦。阿部氏とどちらが勝つのか?
「山形では加藤ブランドは健在。どれだけ娘であることをアピールできるかも重要です。今は阿部さんがリードしていますが、大激戦になるでしょう」(地元ジャーナリスト)
父のリベンジとなるか。
※週刊朝日 2014年11月28日号より抜粋