『週刊朝日』の長友佐波子編集長が企業で輝く女性たちにインタビューする「フロントランナー女子会」。今回は、IHIで女性初の執行役員になった水本伸子氏です。水本さんは、グループ企業の事務的業務を標準化して集約するグループ業務統括室長も兼務しています。入社して22年間、技術研究所でエンジニアとして務めた後、10年前に本社を大手町から豊洲に移すときに、本社移転プロジェクトのリーダーをやったことが、水本さん最大の転機だったそうです。その後は……。
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水本:終わったら研究所に戻れると思っていたんですが、次は経営企画をやってと。それは新事業を企画するところで、研究者としての知識が生かせるから楽しいし、まぁしょうがないかと。そしたら今度は人を採用しなさいと。いい技術系の人材を採るためにはしょうがないか……という感じで、気がついたらすっかり本社の人です(笑)。
長友:ちなみに最初に部長になったのは?
水本:引っ越しプロジェクトのときですね。本社の部長としては異例の若さだったけど、誰もやりたがらない仕事だから誰からも恨まれなかった。
長友:「もうダメかも」と考えたことはないです?
水本:忘れました。
長友:即答(笑)。
水本:結婚、育児、介護、女性はいつもいろいろ大変だもの。でも周りの協力を得たり、うまく忘れたりしながら乗り越えるしかない。それができるのが女性の力ですよ。自分の場所は自分で居心地よくしないと。
長友:素晴らしい! ところで水本さんご結婚は?
水本:してますし、子供もいます。ゼロ歳児のときは給料と保育料が一緒でね。何のために働いてるんだろうと思ったこともありましたが、ワーク・ライフ・バランスなんて人生全体で取ればいい。ゆっくりの時期があってもいいけど、こんなもんでいいやと思わず、頑張る時期も必要ですね。
長友:本当に。必死で働く時期って必要ですよね。
水本:負荷をかけないと絶対に伸びないし、伸びないと先がない。課長には課長の、部長には部長の、役員には役員の楽しさがありますから。それぞれどういうものか、ぜひ多くの女性に体感してもらいたいですね。
※週刊朝日 2014年11月14日号より抜粋