12月の宮崎県知事選に向けて繁華街をジョギングしたり、祭りに顔を出したりと県全域で精力的な活動をしていた東国原英夫・前知事(57)。そのまま、「再び宮崎をどげんかせんといかん!」と出馬に踏み切るのかと思いきや、10月10日、「まったく考えていない」「最終判断です」と不出馬を表明した。県庁近くに豪華マンションを購入し、元県職員の女性との再々婚も発表。故郷の宮崎に骨を埋める覚悟を見せていたのに、何があったのか?
「勝算がないのでやめたのでしょう」と冷ややかに見るのは県議会関係者だ。
「10月初めに東国原さんは独自に情勢調査をされたようです。結果は、現職の河野俊嗣(しゅんじ)知事にダブルスコアの完敗。自民党や民主党の調査でも同様の結果だった。知事を退いて3年9カ月。観光業が低迷し、自分への待望論が高まっていると思っていただけにショックを受けたようです。泣く泣く断念したと聞いています」
口蹄疫からの復興という重大課題がありながら、2011年1月に宮崎県知事を1期で辞めた東国原氏。その後、東京都知事選出馬、衆院選出馬と無節操な行動をとっただけに、宮崎県民は「今さら戻ってくるな」の心境なのだろう。
だが、これでヘコたれる東国原氏ではない。昨年12月に衆院議員を辞める際、周囲に「絶大な権力を誇る知事をもう一度やりたい」とアツく語っていた。宮崎に代わる照準をすでに定めているようだ。
「『維新の党』代表の橋下徹大阪市長と、来春の奈良県知事選に向けた話が進んでいる」と仰天のプランを語るのは芸能関係者だ。
「橋下氏と奈良県知事の荒井正吾氏(69)は犬猿の仲です。関西広域連合で中心メンバーの橋下氏に対し、奈良県は広域連合に加入すらしていない。橋下氏の地方交付税廃止案に対しても、『受け入れられない。自治体間で血みどろの奪い合いになる』と荒井知事はダメ出しした。コケにされた橋下氏は昨年、奈良県知事選で刺客を出すと明言。東国原氏に白羽の矢を立てたようです。本人も前向きだと聞いています」
現職の荒井知事は運輸官僚、自民党参院議員を経て2期目。勝算はあるのか?
ベテランの奈良県議は「接戦になる」と指摘する。
「荒井知事は県立病院改革はじめ、重要な政策を独善的に進めるので、市町村から反発が出ている。観光振興策も、大阪や京都と連携したものを打ち出せず、魅力がない。奈良は大阪のベッドタウン。橋下・東国原コンビで県全域を回れば、いい勝負になるのでは」
本誌の取材に東国原氏の事務所は「出馬の予定はありません」と煙に巻くが、お騒がせ男の決断はいかに。
※週刊朝日 2014年11月14日号