名古屋市の河村たかし市長(65)に、ある「情報」がもたらされた。
「内容は、ある冤罪を晴らす極秘文書が名古屋市役所に隠ぺいされているというものだがや。それを聞き、ピンポイントで市の担当者のところに行き、『すぐに文書を出せ』と迫りました」(河村市長)
いきなり、市長がやってきたものだから、市の担当者はびっくり。問題の文書は市の公文書だったという。
「市の担当者は『いくら市長でも実物を持っていかれるのは困る。コピーもダメだ』と言う。そこで手書きで写すのならという条件で見せてもらったら、仰天するような中身にどえりゃぁ、驚いたがや」(同)
河村市長がその時、手書きで写したメモ(4月7日作成)を本誌は入手した。
なんと、名古屋市職員が名古屋地検から供述を押し付けられ、「強要」されたと訴える内容が報告されていたのである。
供述を強要されたというのは2003年2月、名古屋刑務所の元刑務官、元看守部長が特別公務員暴行陵虐致死罪などで名古屋地検に逮捕された事件についてだった。2人の罪状は01年12月に収容者(当時43)をうつぶせにし、消防用ホースで肛門に放水し、死に至らしめたというもの。
裁判で無罪を主張したが、11年6月に有罪判決が確定。その後、2人は12年に再審請求したが、14年3月に請求は棄却され、現在は異議申し立て中だ。
国会議員時代から支援している河村市長らは元刑務官2人の有罪判決が確定する直前の08年6月、検事らを証拠偽造などの容疑で刑事告発。
検察が03年2月8日に豚を人間に見立てて行った放水実験にねつ造があると訴えたのだ。
その捜査で名古屋地検は放水実験に協力した名古屋市消防局の署員に事情聴取。消防署員らはその模様を名古屋市に報告した。その記録を公文書として残していたのを河村市長が執念で見つけたのである。
問題の放水実験が実施された理由は、収容者の肛門に元刑務官が消防用ホースで放水し、肛門が裂傷し、大量の水が直腸に進入して破裂、腹膜炎を起こしたのが死因という「検察ストーリー」の立証のためだ。
だが、刑務官の弁護にあたる北口雅章弁護士はこの実験について疑問を語る。