3年前に面会交流調停を経験した30代自営業者・Cさんは次のように話す。収入の不安定さを理由に妻子が家を出ていったという。

「調停では『暴力があった』とか『生活費を渡さない』とか元妻が嘘の主張をするんです。すると調査官、調停委員が反応して私を女性の敵として扱って『あなたは奥さんにDVを働いた』って言い切るんです。私が論破したら今度は『子どもが会いたがってない』と別の理由を出してきました。揚げ句の果てには『奥さんが体調を崩したから写真だけの交流にしましょう』と調停官に促されました。ずっとこんな調子なので調停を取り下げました。子どものことを考えると死ぬほど苦しくて何もできません。この世の中から消えてしまいたいと思うことがよくあります。でも子どものことを考えると死ねない。毎日その葛藤の繰り返しです」

 Cさんとは逆に、調停がうまくいき、会える取り決めができたとしてもハードルはさらにある。同居する親に面会交流を強制する法的な手段が存在しないため、同居親が「会わせない」と開き直ればそれが通ってしまうのだ。

 こうなると、裁判所に頼ってみても面会実現はなかなか難しくなるという。

 事態が長期化することで、会えない親はさらに傷つき、中には破滅的な行動を取ってしまうケースもある。

「子どもに会えなくてにっちもさっちもいかず相手に手出しするか、それとも自分が死ぬか。子どもに会えない親が自殺したという知らせが毎年少なくとも1件は来ます」(共同親権運動ネットワーク・運営委員の宗像充さん)

(ライター・西牟田靖)

週刊朝日  2014年9月26日号より抜粋