決勝の舞台に立った錦織選手(写真:gettyimages)
決勝の舞台に立った錦織選手(写真:gettyimages)

「全力を尽くしましたが、自分のテニスができなかった。厳しい敗戦ですが、決勝に残れたのはうれしい。自分のチームに感謝したい。次があると思います。楽しい2週間でした。また来年も来たいです」

 8日(現地時間)、夕暮れが迫るニューヨークのセンターコートで、錦織(にしこり)圭選手はさばさばした様子で、英語でインタビューに答えた。手には、準優勝者に贈られる銀の皿。背後には日の丸がはためく。

 日本人として全米オープンでは96年ぶりの進出となった準決勝で、世界ランク1位のセルビアのジョコビッチを撃破。男女を通じて初めて進んだ4大大会シングルス決勝だった。誰が見ても絶好調。そのままの勢いで手が届くかに見えた優勝は、同世代のクロアチアのマリン・チリッチ(25)に、ストレート負けで奪われた。錦織選手はランク8位、チリッチは12位。それまでの対戦成績は錦織選手の5勝2敗だった。

 ジュニア時代から交流のある杉山愛さんが言う。

「いつもより、ややフットワークが硬く、ラケットの振り切りが鈍いなど微妙に力が入っている印象だった。ただ、今回はチリッチのテニスが良すぎました。実力的には勝てる相手ですが、錦織選手に攻め入る隙を与えなかった」

 試合時間、わずか2時間。あっという間に負けてしまった印象だが、杉山さんはこう評価する。

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