長友:女性の活躍のために何かやっていますか?
野上:合併してから新卒を100人単位で採るようになったんですが、優秀な学生を採っていたら自然に女性が増えて、今、女性が育ってきている段階です。産休、育休をしっかり整備して、制度を活用してもらうこと。受け入れる側の上司の教育はもちろんですが、いちばんネックになるのは、子供を持つと本人が管理職は無理だと諦めることなんですね。そんなとき実際にできている上司がいると違いますので、どんどん女性の管理職の数を増やしたい。特に営業はそうですね。
長友:今、女性の管理職比率ってどれくらいですか?
野上:女性社員は約3割、管理職比率は16%。経営陣は8人中2人が女性で役員比率は25%。まだまだです。
長友:でも国内の企業と比べたらさすがですね。ちなみに、女性ならではの悔しい体験ってないですか?
野上:ないだろうと思っていたんですけどね。今の会社に入って幹部トレーニングのなかに「360度評価」という、上司や部下、同僚らからどう見られているか匿名でフィードバックしてもらうものがあったんです。そしたら「あの人が女なのはどうもしっくりこない」「偉い人なのに、関西のおばちゃんみたいで威厳がない」という意見があって。正直、すごいへこみました。
長友:どうされましたか?
野上:会社の飲み会強化月間に入りました(笑)。私、すごく飲むんですけど、子供が生まれてからは9時半に寝ているので、早々に帰宅していたのを少し頑張って残って。今まで以上に部下の本音も聞けたし、学ぶことも多かったですね。
長友:遅くなってご家庭は大丈夫なんですか?
野上:帰る時間が遅くなると、物理的にも子供の行動的にも家が荒れますので、会話を増やしたりと家にかける比重を増やしています。
長友:家も仕事も多忙で、ストレスたまりません?
野上:前職からビジネスマンは体力だとたたき込まれているので、体力には自信があって。私、マラソンが趣味なので、朝、アルコールを飛ばしながら走ってるとスッキリします。家だけでも仕事だけでもイヤ。どっちも好きなので両方やりたい。それが私のストレスのない形なんです。
※週刊朝日 2014年9月5日号より抜粋