本誌連載「マルちゃんのぎりぎりフェアウエー」で、「英樹の米ツアー優勝は時間の問題」と予言していたプロゴルファーの丸山茂樹氏。米ツアー初Vを飾った直後の松山英樹選手と電話で話したが、そのコメントに思わず笑ってしまったという。
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やっぱり「時間の問題」でしたね!
みなさんご存じの通り、松山英樹がメモリアル・トーナメント(5月29日~6月1日、米オハイオ州ダブリン・ミュアフィールドビレッジGC)で、米PGAツアー初優勝を果たしました。まさにメモリアル! 米ツアーで優勝した日本勢は青木功さん、僕、今田竜二に続いて4人目です。でも20歳代では初めて。しかも22歳でなんて、素晴らしすぎますよね。
優勝して数時間後に英樹と電話で話せたので、「これまでのいろんな経験が生きたな」なんて言ったら、「よかったです」「ありがとうございます」って。相変わらずコメントは薄かったです(笑)。
これまでは昨年10月のフライズドットコム・オープンでの3位が最高。前週のクラウンプラザ招待では最終日を首位で迎え、10位。2週連続で優勝争いに食い込み、モノにしました。
最終日はいろんなことがありましたね。16番でダブルボギー、17番でボギーと崩れ、迎えた最難関の18番パー4。ここでバーディーをとらなければ、プレーオフに持ち込めない。
なんと、ティーショット後にドライバーが壊れるというアクシデント。ここで持ち直したのがすごいですよね。第2打を7番アイアンでピンまで1.5メートルにつけて、見事バーディー!
ケビン・ナ(米)とのプレーオフは最初の18番で勝負が決まりましたが、英樹の第2打はギャラリーに当たってラフに戻ってきた。勝つときって、こういうラッキーがあるものなんです。それをモノにできるかどうかでゴルフ人生も変わってくる。
英樹は持ってる素質は十分で、スイングの作り方が抜群にうまい。一番いいのは、コースへの順応力が高いことですね。だから米ツアーの初めて経験するコースででも、ある程度の成績を残し続けられる。しかも今回の会場は昨年の団体対抗戦・プレジデンツ杯で経験済みでしたから、あらゆることが頭に入ってたでしょうね。
さらに英樹には独特の感性があって、危険を体で察知して、行動に移せる。一緒にコースを回っていると、あの飛ばし屋の口から、「ここは無理しなくていいや」という言葉が結構出てくるんです。
22歳で米ツアー初優勝ですから、これはもう10勝はしてもらわないと。アジア勢の最高がK・J・チョイ(韓)の8勝ですけど、これを抜けるのは日本勢では英樹と石川遼しかいないでしょうから。2人には頑張ってもらわないと。
この試合で57位に終わった遼はブログに、「日本人が勝ったのは嬉しい。でも悔しい!」って書いたそうですね。これを刺激にしないと。「英樹ができたから俺にもできる」って、簡単な気持ちを持ってもいいと思うんですよ。実力的には変わらないわけだから。
さあ、いよいよ今季の海外メジャー第2戦、全米オープン(6月12~15日、米ノースカロライナ州パインハースト)ですよ!
僕は昨年に引き続き、解説を担当させていただきます。日本勢初のメジャー制覇を、僕の言葉でみなさんにお伝えしたいもんですね。英樹には十分チャンスがあると思いますよっ!
※週刊朝日 2014年6月20日号

