ヤンキー論で日本人の気質を斬り、注目されている精神科医の斎藤環氏が、作家の林真理子と対談を行った。「坂本龍馬がヤンキーのシンボル」と持論を展開する斎藤氏だが、坂本龍馬も出身地である高知県は県民性としてヤンキー濃度が高いという。
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林:このあとヤンキーは細分化され増殖されて、数々の現象を生んでいくとお考えですか。
斎藤:どうなんでしょうね。ヤンキーって、時代が変われば変わるほど変わらないところがあって、改造車にしても、いまだに竹やりやシャコタン。変わらないものが温存されていく構造ですね。ただ、唯一新しいと思ったのが、ゼロ年代以降に出てきた「よさこいソーラン」ですね。
林:ああ、私、あれが嫌いなんですよ(笑)。ああいう外来種がどんどん伝統文化を駆逐していくんですよね。「おわら風の盆」みたいな、ゆったりとした日本古来の祭りを。
斎藤:あれは伝統を駆逐するブラックバスみたいなものなんですよ。
林:何とかしてほしいんですけど。
斎藤:何ともならないですよ。全国の祭りであれをやっているうえに、学校が子どもにやらせているから、もう無理です。ただ、あれのいい面もあって、非行対策としては明らかに有効だったと思うんですよ。日本で非行が激減した理由の半分ぐらいは「よさこいソーラン」じゃないかと思っていて、勉強はできないけど、「よさこいソーラン」で輝く。不良にチャンスを与えているんですね。
林:「よさこい」って高知ですよね。私、高知が大好きで、このあいだ観光特使になりましたが、あそこは全県民ヤンキーという感じですよね。
斎藤:西原(理恵子)さんといい、ヤンキー濃度が高い県民性ですね。あそこはヤンキー帝国です。
※週刊朝日 2014年4月18日号