灘や開成など、トップ進学校では、1年に4、5人が海外のトップ大学に進学している。ハーバードやイエールなど、有名な海外の大学に進む受験生が増えているのだ。武蔵(東京)など、学校側にも海外大学への進学に力を入れる動きがある。
そして、行政サイドの動きも活発化してきた。熊本県は13年に「海外チャレンジ塾」を開講。昨年度、海外進学コースに26人が在籍し、そのうち5人の高3生がアメリカの州立コミュニティーカレッジに進学予定という“成果”をあげた。県私学振興課の担当者が言う。
「熊本市内の私立高校が協力校となり、ベネッセが運営するグローバル・ラーニング・センター(GLC)を利用してTOEFL対策の授業を行っているほか、海外進学の説明会や講演会も行っています」
事業の背景には、蒲島郁夫知事の経歴が大きな影響を与えている。
蒲島知事は高校を卒業して農協に就職するも、研修で渡米したことがきっかけとなり、米ネブラスカ大からハーバードの大学院に進学。そして1997年には東大教授に就任している。
「知事自身がハーバードを卒業したということもあり、同じ夢を持つ高校生がいるなら支援したいという思いからスタートしました。県ではほかにも海外の難関大学に進学した場合は100万円を給付する事業も行っています」(担当者)
文部科学省も国際バカロレアの認定校を現在の数十校から18年には200校に増やす計画を発表している。国際バカロレアとは大学入学資格を与える世界共通の教育課程で、プログラムを履行して試験に合格すれば、世界の多くの大学で入学資格が得られる。文科省の担当者が言う。
「活発な議論を重視するなど、国際バカロレアのプログラムはグローバル人材の育成に有効です。そのために国内での認定校を増やすだけでも意義があると考えています。その上で、高校生にとっては海外大学が進学先に加わるのですから、志望の多様化という利点が生まれます」
どうやら“官民一体”となって海外大学への進学者を増やそうとしているのは明らかだ。
※週刊朝日 2014年4月18日号