「TANAKA」の力投に敵地トロントも興奮。里田まい夫人も観客席で応援した (c)朝日新聞社 @@写禁
「TANAKA」の力投に敵地トロントも興奮。里田まい夫人も観客席で応援した (c)朝日新聞社 @@写禁

 4月4日(現地時間)のブルージェイズ戦で大リーグデビューを飾ったヤンキースのマー君こと田中将大投手。初回に先頭打者本塁打を浴びるなど“洗礼”を受けたが、7回を3失点で乗り切り、日米通算100勝目となる初勝利を挙げた。

 大リーグ評論家の福島良一氏がこう語る。

「初めての試合で無四球だったのは特に注目に値する。球やマウンドの違いに苦しむ日本人投手が多い中、適応力がズバ抜けている」

 適応といえば、渡米前は英語力不足が懸念された田中。オープン戦初先発を控えた先月5日には今季限りで引退するジーター選手から「ひどい。僕の日本語のほうが彼の英語よりうまい」とイジられていたものだが、チームには溶け込んでいるようだ。

「先月半ばにキャッシュマンGMは『すっかりチームの一員。合流して6週間ぐらいだけど、もっと長くいるように見える』と言ってました。アメリカの報道陣ともうまくやっているようで、彼らが選ぶキャンプ新人王にもなってましたね」

 こう語る在米邦人記者によると、田中は足りない語学力をカバーするコミュニケーション術を駆使しているらしい。

「お菓子の森永が『ハイチュウ』の現地生産を始めるのですが、田中は黒田(博樹投手) と一緒におすすめのレモン味のハイチュウを注文し、箱に『For Everybody』と書いて自分のロッカーのそばに置いておいたとか。それがめちゃくちゃウケてました(笑)。ギフト社会の米国を理解している黒田のアドバイスでしょう」

 大型契約で注目の田中について、現地メディアは「とにかく何でも書く、って感じです(笑)」(スポーツ紙デスク)。一挙手一投足が観察・分析されているのだ。たとえば黒田との関係は「田中が新車なら黒田はGPS」と例えられるほど、黒田の存在が貴重だという分析。かと思えば「あまりイチローと話していることはない」と書かれ、はからずも同じユニホームを着ることになった日本球界の新旧スーパースターの微妙な関係が伝えられている。

 ちなみに黒田の田中に対する第一印象は「謙虚。アメリカのスタイルに飛び込もうとしている」というものだった。黒田は、こんな言い方もしている。

「普通にやれば間違いなく活躍できる。ただ、普通にやるのが難しい」

 無敗男のメジャー挑戦は、まだ始まったばかりだ。

週刊朝日  2014年4月18日号