国会で強気発言が目立つ安部首相 (c)朝日新聞社 @@写禁
国会で強気発言が目立つ安部首相 (c)朝日新聞社 @@写禁

「アベノミクスを停滞させるな」との名目で、2014年度予算案は空前の約95.9兆円となった。族議員に後押しされた各省庁が、要求額をどんどん積み増したのだ。「バラマキ」と言われた第2時安倍内閣最初の13年度予算案ですら92.6兆円だった。

「地元で予算案の評判はすこぶるいい」と話すのは、ある農水族議員だ。18年度をめどに減反を廃止するかわりに、対策費を含めた農水予算は前年度比で1.3%増となっているのだ。

「地元の忘年会、新年会で『ちゃんと考えて予算をつけています』と農家に伝えている。TPPなどで不安もあるだろうが、表立っての不満の声は出ていない。やっぱり一番の説得材料は予算なんだ」

 消費増税により、14年度の税収は13年度の当初予算より7兆円ほど増えるといわれる。これを原資に、手広くばらまいた格好だ。

 建設族の大物たちが勝ち誇ったように言う。

「やるべきことはいくら国債を発行したってやる。安倍政権になってそういう当たり前の予算づくりになっただけ。『コンクリートから人へ』とバカなことを言っていた民主党政権が異常だったのだ」

 公共事業費は安倍政権で2年連続の増額。整備新幹線も9年ぶりに増額した。民主党政権時代に“凍結”されたはずの道路建設も続々と復活している。

 自民党が政権に復帰してからのこの「ジャブジャブ路線」は、一部の業界にすでに効果が出ている。国交省は1月30日、公共事業の労務単価の引き上げを発表した。引き上げ幅は全国平均で7.1%。通常改定は4月に行われ、年度途中に実施されるのは実に14年ぶりとなる。

「全国的に人手不足で人件費が上がっており、公共事業の受注企業に損を出させないための措置」(同省)

 これらの方針はいずれも「景気回復の実感を全国津々浦々に届け、力強い経済成長につなげていきたい」という安倍晋三首相の強い意向によるものだ。

「消費税率も上がり、景気対策はさらに必要になる。安倍さんは憲法改正をやりたいのだから、支持率を落とすわけにはいかない。さらにいろんな名目で党側から歳出圧力がかけやすくなる」(閣僚経験者)

 一方で国の借金は1千兆円を超えた。歯止め役となるはずの財務省だが、トップの麻生太郎財務相(73)自身が積極財政派。自身が政権を担っていたときも、3度も大型補正予算を組み、国の出先機関からは「カネだけ渡されて『とにかく使い道を考えろ』と指示された。知恵などすぐには出ない。苦しいだけだ」との悲鳴が上がった。

 ストッパー役になろうはずがない。

「安倍さん、麻生さんに消費税を通してもらった手前、与党議員にものが言いにくい雰囲気」(財務官僚)

週刊朝日 2014年2月28日号