前日、木の葉に降り積もった雪が晴天にとけ、裃(かみしも)の肩衣(かたきぬ)にぱらりと落ちる――。
伊達政宗が眠る「瑞鳳殿」(仙台市)で1月2日、新年拝礼式があった。昭和60年から続く恒例行事だ。
裃姿で一堂に会した約30人は、いずれも伊達藩ゆかりの末裔で、「仙台藩志会」「大年寺会」「殉死者後裔会」に所属する。
10時40分、普通に歩けば5分程度で辿り着く本殿までの道のりを、一行は倍の時間をかけ、おごそかに行進した。
行列の中に、一人だけ陣笠を被っていない男性がいる。伊達家18代当主、伊達泰宗さん(51)だ。雪駄が石畳にこすれる音を耳に道すがら、「先人が築かれた郷土の歴史と文化を継承していくことをお誓いする」との思いでいたという。震災から約3年。また新年を迎え、喜びもひとしおだったのではないか。
伊達政宗が没して378年。人気武将であるのを差し引いても、日本人の心と士気が垣間見える儀式に、新年早々、身の引き締まる思いだ。
※週刊朝日 2014年1月24日号