「ベアーズレディ」川崎康子さんの仕事ぶりは徹底している(撮影/山本倫子)
「ベアーズレディ」川崎康子さんの仕事ぶりは徹底している(撮影/山本倫子)

 そろそろ大掃除を始めなければならないシーズン。そんなときに便利なのが家事代行サービスだ。39歳で2人の子どもをもつ記者が、大手家事代行業者「ベアーズ」(東京都)に自宅の掃除を依頼してみた。

 師走のある日、記者宅に「ベアーズレディ」と呼ばれる専任スタッフ川崎康子さん(68)がやってきた。勤続8年。母親世代だけに「コートをお預かりします」と申し出ると、丁重に辞退された。代わりに持参した袋の中に上着を入れ、靴下もはき替えた後、「外の汚れを持ち込まないためなんです」と柔らかくほほ笑んだ。

 ではサービス開始だ。記者が大の苦手な「水回りの掃除」をお願いした。川崎さんはまず風呂場へ向かった。脱衣所に持参したタオルを敷き、その上にシャンプー類などを運び出して並べ始める。小物を全部外に出してから徹底的に掃除するのか。普段は少しずらしてカビ取り剤を吹き付けて水で流すのが関の山なのに……。

 次いで、川崎さんは排水口のカバーを開けた。わっ、見るもおぞましい髪の毛の山が! しかも、カバーの裏にはどす黒い汚れがびっしり。記者は思わず恥ずかしさに身がすくんでしまった。こんな汚い排水口、ゾッとしませんか!

「最初はびっくりしましたけど、今ではなんとも思いません。定期的に通っているお宅ならここまで汚れませんが、相当たまっているお宅も多いんです」

 川崎さんは平然とそう言いながら洗剤を吹き付け、汚れを浮かしている間に、浴槽や床などを手際よく磨いていく。浴槽のふた、シャワーのヘッドやホース、窓、さらに給湯器のリモコンまで。外に運び出したシャンプー類を中に戻す際に一本一本、丁寧に拭いているのにも驚いた。わが家は中身を詰め替えて使うので、容器が水垢でくすんでいた。それを、まるで新品のようにピカピカにしてくれた。

 次はトイレだ。そこで、記者は衝撃的な場面に出くわした。なんと!! 川崎さんは使い捨て雑巾を持った素手を、便器の水の中まで突っ込み、ガシガシ磨き始めたのだ。わが家のトイレに、しかも便器の底まで素手を突っ込むなど、この家の主婦であっても到底、考えられない!

「ブラシは細かいところにまでは届かないので使いません。ゴム手袋も感覚がわからないから嫌いなんです。素手でやれば汚れが残っていればザラザラするのでわかるし、キレイになってキュッとする感覚もつかめる。お金をいただくお掃除ですから、自分の手で確かめないと」

週刊朝日  2013年12月27日号