今年の「第64回NHK紅白歌合戦」の人選は“波乱含み”になりそうだ。
現時点では白組の司会が人気グループの嵐、紅組の司会が女優の綾瀬はるかと発表されているが、これは大方の予想どおりだ。
「嵐は昨年まで3年連続で白組司会をやっており、綾瀬はNHK大河ドラマ『八重の桜』で主演を務めています。NHKへの“貢献度”から考えても順当な人選なのです」(スポーツ紙芸能担当デスク)
例年、出場歌手に関しては11月下旬に発表されているが、早くも落選濃厚とささやかれているのが、韓流アーティスト勢だ。韓流といえば、一昨年の「紅白」に東方神起、少女時代、KARAの3組が出演するなど一大ブームを巻き起こした。
だが、昨年8月に韓国の李明博大統領(当時)が竹島に上陸したことなどで日韓関係が悪化。「紅白」の人選に注目が集まったが、結局、この年の韓流歌手の出場はゼロだった。
「今年に入って朴槿恵大統領が“反日”の姿勢を強めたことで、状況はさらに悪化している。NHKサイドは表向き、『政治と文化は別』としていますが、わざわざ“地雷”を踏みにいくようなことはしないでしょう。来年1月の解散がささやかれているKARAなんかは、紅白出演で最後の花道を飾りたいというのが本音でしょうが」(同)
韓流アーティスト自身も、両国間で板ばさみになっている。韓国の芸能プロモーターが危機感を募らせる。
「領土問題はいまに始まったことではない。ビジネスは、お互いにうまくやってきました。正直、政治家には火に油を注ぐようなことはやめてほしいというのが本音です。いま韓国のタレントが日本で活躍すると、母国で反日的な発言を求められるんです。それに応じなければ、『裏切り者』と国民からたたかれ、応じたら応じたで、その情報が日本に流れて日本のファンを失う。この悪循環をどうにかしなければならない」
こうした一連の流れの延長線上に、日本の芸能界全体の“韓流離れ”があるようだ。
「『紅白』に限らず、韓流案件にはみんなピリピリしているからね。以前はお笑い芸人などがKARAや少女時代のファンであることを声高にアピールしていたけど、最近はその手の発言がピタッと止まった。それほどデリケートな問題になっている」(レコード会社幹部)
「紅白」の人選は、その年を映す鏡とも言われる。韓流という「ひとつの時代」が終わりを迎えている証左なのかもしれない。
※週刊朝日 2013年11月29日号