92年9月13日の巨人戦。5回、巨人・川相が放った中前への打球を前田が後逸し、ランニングホームランとなる。北別府氏は、それで勝利投手の権利を失った。8回、前田の2ランで広島が勝利するも、前田はベンチで泣き、試合後のヒーローインタビューに現れなかった。北別府氏は言う。
「後日、『気にするな』と言いました。僕をもり立てようと、積極的にプレーした結果ですから。自分に似た職人タイプ。あと2年は代打の切り札でやれたはず。残念ですね」
赤ヘルを代表する選手たちの思いも受け継ぎ、広島は10月12日からのCSファーストステージに挑む。
※週刊朝日 2013年10月11日号