AKB48のプロデューサーだけでなく作曲家として月40、50曲もの作曲を手掛ける秋元康氏。デビュー以来、エンターテインメント界のフロントランナーとして疾走してきた秋元氏だが、作家・林真理子氏との対談で素顔を明かしている。

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林:そういえば秋元さんが夜中に帰ったら、河口洋一郎(CGアーティスト、東大大学院教授)さんが飲んでいたんでしょう? 秋元邸で。

秋元:それが夜中の2時か3時で、ドアをちょっと開けたら、河口洋一郎と姿月あさととカミさんで飲んでいたの。すぐ閉めて、僕は自分の部屋で仕事した。そこに巻き込まれるのいやだから。(笑)

林:怒らないの?

秋元:ぜんぜん。

林:うちの夫なんて、夜の10時半に電話がかかろうものなら、「こんな時間に非常識だ!」とか言うし、ごはんどきにかかってきただけで、怒っちゃって口きかないの。

秋元:ご主人はまっとうな人だから。僕がもし官僚になっていたら、そうなっていたかもしれない(笑)。僕らのころは、開成中学から開成高校、あるいは麻布から東大文Iに行って大蔵省に入るというのがキーワードで、ちゃんとした大人はそういうものだろうと思っていたんですよ。「ちゃんとしてる」ということが、僕にとってはすごく大きいの。

 
林:ちゃんとした大人って、たとえば朝6時に起きて……。

秋元:朝6時に起きて、朝ごはんを食べて、電車に乗って会社に行って、当たり前のように帰ってくるということを繰り返す。それが「ちゃんとしてる」ってことだと思う。電化製品の取り扱い説明書がちゃんと読める人とかさ。(笑)

林:うちの夫、読むの大好き。クレームつけるのも大好き。(笑)

秋元:僕はそういうことが全然できない。でも、できるだけちゃんとしようと思って、昔はマンションの管理組合の会議にもちゃんと出席してましたよ。

林:えーっ、秋元さんが?

秋元:そういうことが「ちゃんとしてる」ということだと思ってる。対象が官僚だからさ。(笑)

林:私も、子どもの連絡帳に書くとか、定められた日までに何かを手づくりするとか、この世でこんな苦手なものはないですよ。

秋元:うちの妻も絶対向いてない人なんだけど、それを母として妻としてやり続けている意志の強さはすごいと思う。

林:一種のコスプレですよね。(笑)

週刊朝日  2013年8月16・23日号