関東甲信地方で梅雨が明けて以降、日本列島は連日、30度以上の真夏日が続き、熱中症で死者が相次ぐなど殺人的な猛暑となっている。暑さから身を守るためには、どうしたらいいのか? 正しい熱中症対策の知識と、本当に役立つひんやりグッズを徹底取材した。
巷ではどんな“グッズ”が人気なのだろうか。マロニエゲート東急ハンズ銀座店では5月末ごろから「ひんやりグッズ」のコーナーを設置している。「今年は梅雨が短かったせいか、各商品どれも例年より売れています。週末になると、お客様でコーナーの通路が埋まってしまうほどです」(売り場担当者)。
なかでも、一番の売れ筋は首に巻いて体温を下げる冷却スカーフだという。
「水に浸して首に巻くだけという手軽さが人気の要因でしょう。いろんなタイプの商品があり、女性向けにペイズリー柄やドット柄の商品もあります」(同前)
記者が実際に使ってみたところ、確かに、首筋がひんやりとして気持ちいい。しかも、その冷たさが長時間にわたって続き、値段も500円前後とお手ごろだった。これは“買い”だろう。
通販サイトニッセンでも、暑さ対策の商品の売れ行きが好調のようだ。「夏の定番商品の、いぐさを使ったラグマットなどは、現在欠品するほどの人気です」(広報企画室)。
しかし、通販サイトや店頭には、これら以外にもさまざまなグッズが溢れ、いったいどれが効果的なアイテムなのかわからない。
そこで、医学博士である横浜国立大の田中英登教授に話を聞いた。田中教授は一昨年、代表的な5つの製品(アイスバッグ、扇風機、冷感シート、冷却スカーフ、冷感スプレー)を、30代の男性2人に35度の暑熱環境で使用させ、製品を使ったときの体温変化や体感を記録し、もっとも効果的な製品を検証したという。
「一番効果があったのは、スポーツの現場でアイシングとしても使われているアイスバッグでした。氷水を中に入れ、首の後ろを冷やしたところ、体温を下げる効果が非常に長く続いたのです」
だが、一般の人はなかなかアイスバッグを持ち歩くわけにもいかないのが現状だ。そこで、田中教授がオススメするのが霧吹き付き小型扇風機だ。「体温というのは、汗が蒸発して初めて下がります。霧吹きで、体に水を吹きかけることで、汗をかいた状態と同じにする。そこに扇風機で風を送ると、水が気化して、体温が下がるわけです」。
※週刊朝日 2013年7月26日号