自公が圧勝し、衆参のねじれも解消されることが確実視されている参院選。気の早い永田町の関心はすでに選挙後の人事に移行している。安倍晋三首相(58)の頭の中にはどんな政権構想があるのか。日頃、眼光鋭く政局を観察している森田実、田崎史郎両氏に参院選後の政局を語ってもらった。

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森田:まずは党役員人事と内閣改造です。石破茂幹事長(56)は留任、高市早苗政調会長(52)は更迭という流れですね。安倍さんにとって決定するのは自分であって、党は弱くていいのでしょう。そして党内の不満は石破さんに抑えさせる。高市さんは「原発事故による死亡者はいない」など、物議を醸す発言が多すぎて、安倍さんの障害物になっています。

田崎:私も石破さんについては続投の可能性が高いとみています。安倍さんの周辺の数人に聞いても「代える理由がない」と言っています。安倍さんにとっても、2015年の総裁選での再選を考えると、石破さんを体制下に取り込んでおいたほうがいい。重要閣僚に横滑りという話もありますが、麻生太郎財務相(72)は動かせないし、外交は官邸直轄だから、岸田文雄外相(55)も代えられないですね。一部で二階俊博総務会長代行(74)の幹事長登用説がありますが、ちょっと根拠がわからない。

森田:高市さんの後の政調会長ですが、誰を置くかで安倍さんが今後何をやりたいか見えてくると思います。秋の臨時国会は成長戦略に関連する法案を次々と出すようです。このまま経済でいくならアベノミクスの立案者である山本幸三元経済産業副大臣(64)を持ってくる可能性がある。山本氏は一貫して金融緩和を主張し、過去の日銀を批判してきました。一方、憲法改正に重点を置くなら、内閣から下村博文文部科学相(59)や新藤義孝総務相(55)といった、安倍さんのタカ派思想に近い人を横滑りさせることも考えられます。

田崎:後任も女性なら小池百合子元総務会長(60)が適任と思われていますが、安倍さんから信用されていない。それから塩崎恭久政調会長代理(62)。「我こそは」と思っているようですが、彼にまとめ役ができるかはわかりません。

森田:結局、人事の焦点は政調会長で、内閣改造は小幅にとどまるでしょう。

週刊朝日  2013年7月19日号