12月16日に行われる衆議院選挙が近づき、各政党の動きが本格化している。票獲得に必死な政党に、あきれはてた早稲田大学国際教養学部教授の池田清彦氏は、こう嘆く。
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野田首相が追い詰められて、窮鼠(きゅうそ)の如き解散に踏み切った。猫を噛めるとはとても思えないが、筋は通したと胸を張っての解散であった。筋は通したが日本は亡びたにならなければいいけどね。民主党の大多数の議員の反対を無視しての解散に離党者が続出で、民主党は解党寸前のようだ。まあ、もともと民主党は烏合の衆で、TPPひとつとっても賛否バラバラで政党としての体をなしていたとは言い難い。
烏合の衆と言えば、石原と橋下の野合は茶番以外の何ものでもない。維新人気に陰りが見えてきた橋下は石原を隠れ蓑に国政を乗っ取ろうと考えているのだろうが、橋下が思う程石原はもう人気がないと思うよ。先日もタクシーに乗ったら、運転手がせっかく投票してやったのに、東京オリンピックの誘致を放り出して勝手に知事をやめるとはけしからん、と怒っていた。石原はやらなくてもよい新銀行東京の設立とオリンピック誘致のために多大な税金をドブに捨てたA級戦犯だが、指導力のあるフリをして庶民の心をつかむのだけは上手かった。でもタクシーの運転手に愛想を尽かされるようではもう終わりでしょうね。
自民党はどうかというと、原発を止めたら日本は終わりだ、あるいは日銀に国債を引き受けさせろなどと、安倍が言っているようでは日本は本当に終わりだ。原発の大事故が再び起きたり、ハイパーインフレが起これば日本は立ち上がれないだろう。投票したい政党が皆無という選挙って、いったい何なんだろうね。
※週刊朝日 2012年12月14日号