ロシアのメドベージェフ首相が今年7月に国後島を訪問、択捉島では新しい空港建設が進むなど、ロシアによる実効支配が強まる北方領土問題について、共産党の志位和夫委員長に聞いた。
日本政府は長年、北方四島(択捉、国後、色丹、歯舞)の帰属を求めてきているが、共産党のスタンスは違うという。
「この問題はシンプルなんです。日ロ間で平和的に定められた最終の国境線はどこか。榎本武揚(たけあき)がサンクトペテルブルクに乗り込んで締結した1875年の『樺太・千島交換条約』です。この条約で、樺太全体はロシア領になり、得撫(ウルップ)から占守(シュムシュ)までの北千島を含む千島列島全体が日本領になりました。つまり、『北方四島』だけでなく、北千島まですべて日本の領土だというのが私たちの主張です」。
日本が北千島まで取り戻すにはどうすればいいのだろうか。
全千島列島と歯舞、色丹の返還を要求して、堂々と外交交渉を行い、最終的な解決への過程として、歯舞、色丹の返還といった中間措置も念頭に置く。ただ、「そこで平和条約を結ばないことが大事です。平和条約を結んだら、国境線が確定してしまいますから。平和条約は、領土問題が最終的に解決に至った段階で締結すべきです」と志位氏はいう。
※週刊朝日 2012年10月26日号