センター試験の出願が始まり、受験ムードが一気に高まり始めるこの時期。模擬試験の結果に、本人以上にドキドキしてしまう“親”の心中も想像に難くない。そこで今の時期にこそ知っておきたい、知っておくべき親の心構えを、ベネッセコーポレーション高等教育研究所の村山和生氏に伺った。

一、模擬試験の結果に一喜一憂しない!

 センター試験の出願がスタートしたこの時期は、各種の模擬試験の結果が返ってくる時期でもある。その結果を見て、我が子より先に心が折れてしまう親も毎年後を絶たないという。しかし「今の時期の結果を見て気を落とすのは早すぎる」と村山氏は言う。
「どんな進学校の先生に話を伺っても、必ず意見が一致するのは“この時期の現役生の判定は、だいたい悪い”ということ。
「今の時期、お子さんたちの勉強はまだ全範囲終わっていません。特に現役生は1月後半ぐらいまでかけて全範囲を仕上げきるので、まだ実力が固まりきっていない。現役生は受験の前日まで伸びるというのはただの気休めではなく、学ぶ過程上そうなっているのです。このことを知っておくだけで、いたずらに悲観することがなくなります」(村山氏)

二、合格判定の意味を正しく理解する!

 志望校の合格可能性の目安となる合格判定。しかしC判定以下はこの世の終わりかといえば、実際にはそうではない。そもそも合格判定というのは、合格率をパーセンテージで表したもの。学校の先生に協力してもらい、過去にCやD判定以下で合格した人を調べてみると、意外にも数多く存在していることがわかるだろう。
「上っ面の結果だけを見て驚くよりも、今の入試制度がどうなっているのか、また子どもがとってきた成績はどのような意味合いなのかを冷静に判断すること。そのためにもきちんと学校と連携をとり、正しく情報を読み解いて欲しい」(村山氏)

三、センター試験を子どもの自立の良いきっかけに。

 昨年も相次いだセンター入試トラブル。その原因のひとつとなったのが、志願票の記入を人任せにした受験生が一定割合いたことだ。例えば親が志望校をよく把握しないまま代筆することで、科目数や組み合わせを間違えて記載するケースがあったという。
「保護者や先生が志願票を書いたという人がいれば、出したことで安心せず、必ず先生と一緒に本人の目で、これから返送されてくる『確認はがき』をチェックするようにして欲しい。今年は『確認はがき』を修正できるタイミングがあるので、もし間違いや修正したい点があれば、必ず先生と相談しながら本人に修正させるようにしてください」(村山氏)
 
四、今の時期は基礎固めをしっかり!が、親ができる現役生へのアドバイス。

 いざ出願が始まると多くの受験生が過去問をやり始めるが、特に現役生はまだ過去問をやり過ぎない方がいい。というのも「今はまだ基礎固めの時期。きちんと学校の授業を中心に取り組み、テクニカルな対応に走りすぎないことが大切です。これは毎年センター試験を受けている生徒さんたちを見続けていて、強く思うことでもあります。時間配分を見てみたり、傾向をつかむための過去問トライアルは大賛成だが、過去問を何年分もまとめて何度も解くような時期ではありません。極端な話、問題演習は12月の直前期でも間に合います」(村山氏)

五、今のうちに受験スケジュールの組み立て・シミュレーションをさせる。

 実は今年は、センター試験の日程が最も遅い年。年が明けてもセンター対策ができる反面、センター後に個別学力入試・私大入試までの期間が短くなっている。だからこそ、今のこの時期に1月~3月の受験スケジュールをしっかりと立てておくことが重要だ。
「今年の受験生に求められているのは、センター後二次試験に臨むまでの時間のやりくり。期間の短さゆえ、仮にセンターがダメだった時に冷静な判断ができなくなってしまう可能性があります。だから多少余裕のある今の時期にこそ、具体的な受験スケジュールを立ててください。またこの時期までにこれを完成させる、この受験が上手くいかなければこれを受けるというように、シミュレーションを行うのも忘れずに」(村山氏)

 親のうろたえは、受験生にはてきめんに影響する。「やはり一番大事なのは、子どもの結果を見て一喜一憂しないことですね」と、村山氏は言う。最愛の我が子の受験は、親にとっての成長のきっかけもなるかも!?

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