(イラスト/寺平京子)
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 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。病院ランキングだけでなく、治療法ごとの最新動向やセカンドオピニオンをとるべきケース、ランキングの読み方などを専門の医師に取材して掲載している。ここでは、「前立腺がん治療」の解説を紹介する。

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 前立腺がんの治療には、監視療法(PSA監視療法)、手術による前立腺全摘除術、放射線治療(外照射、組織内照射)、薬物療法がある。

 悪性度の低い、がんが前立腺の中にとどまる初期の「限局がん」におこなわれるのが監視療法だ。PSA検査だけでなく画像診断や生検で定期的に経過をみる必要があるため、2016年のガイドラインから、名称がPSA監視療法から監視療法に改められている。

 ロボット手術は保険適用になった12年以降、多くの病院で実施されるようになった。

 放射線治療では、周囲の正常組織を傷つけずに、がんの部分にどれだけ多くの放射線を集中的に照射できるかが大きな課題だ。現在、X線を用いた外照射では、がんの部分に多くの線量が分布されるIMRT(強度変調放射線治療)が普及しつつある。その後開発された機器では、課題となる治療レベルの向上だけでなく、照射回数を減らすことも可能になった。IMRTでは通常、40回程度の照射で、約2カ月の通院が必要になる。しかし16年に保険適用になったSBRT(定位放射線治療)やVMAT(強度変調回転放射線治療)では、4~20回程度の照射で終了する。ただし、まだ標準的な照射法が定まっていないため、病院によって回数は異なる。

 また、外照射で最もダメージを受けやすい直腸を守るために、18年に「SpaceOAR」が保険適用になった。前立腺と直腸の間に入れるゲル状の保護剤で、直腸への副作用を軽減するメリットがあり、1回の照射線量を増やして回数を減らせることに貢献している。

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悪性度が低いと治療法に迷うことも。そんなときは?