進行がんでは、ホルモン療法が中心になるが、徐々にホルモン治療薬が効かなくなる「去勢抵抗性前立腺がん」という状態になる。大阪市立大学病院の井口太郎医師は次のように話す。
「去勢抵抗性では現在、さらに強力なホルモン治療薬が3剤、抗がん剤が2剤、放射性医薬品が1剤、承認されています。治療の選択肢は増えており、さらに生存期間が延長できるケースが増えていくでしょう」
■セカンドオピニオンとるべきケース
限局がんの状態では、一般的に手術、放射線の外照射、LDR(密封小線源永久挿入療法)のどの治療法を選んでも、治療後の生存期間に大きな差はないといわれる。また、悪性度が低ければ、監視療法も選択肢に入る。しかしそうなると治療の選択に迷うこともある。そんなときは手術と放射線治療、どちらもバランスよく手がける病院でセカンドオピニオンを受けて、ほかの医師の意見も参考にするのがいいだろう。
一方、進行がんで見つかった場合や、再発例では、治療方針に納得がいかなければ、治療数の多い病院でセカンドオピニオンを受けるといいだろう。
去勢抵抗性前立腺がんでは、病院によって治療薬の選択が異なることがある。自身にとって最も重要なことは何かを考えたうえで、十分、主治医と話し合おう。治療方針によっては治療費にも差が出るため、納得がいかない場合はセカンドオピニオンでアドバイスを受けてから、納得して治療法を選びたい。
≪セカンドオピニオンをとるべきケース≫
ケース
手術、外照射、LDR、どれでも治療成績が同じ場合
初期の限局性がんで手術、外照射、LDR、どれも治療成績は同じと言われたとき。患者は決心がつかず、医師も一つを選んで勧めにくい。ほかの医師の意見も聞いてみよう。
ケース
監視療法で1年以上経過したが生検をしていない
PSAの値に変化があったら生検をすればいいと考えがちだが、PSAだけでのモニタリングでは監視療法の安全性が担保されない。セカンドオピニオンで生検の必要性についても確認しよう。