週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。病院ランキングだけでなく、治療法ごとの最新動向やセカンドオピニオンをとるべきケース、ランキングの読み方などを専門の医師に取材して掲載している。ここでは、「胃がん内視鏡治療」の解説を紹介する。
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胃がんの内視鏡治療は主に「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」と「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」の二つがある。もともとはEMRが主流であったが、現在はほとんどの症例がESDでおこなわれている。千葉県がんセンターの鈴木拓人医師はこう説明する。
「ESDが保険適用になってから10年強が経ちました。技術の向上と内視鏡機器の進化により、導入初期に比べ治療の時間は短くなり、安全性も高くなっています。以前は高度で特殊な手技で専門病院でしかおこなわれていませんでしたが、現在は一般病院でもESDができるようになっています」
ほとんどおこなわれなくなっている早期胃がんのEMRについて、埼玉医科大学国際医療センターの野中康一医師は、「ESDよりも短時間での治療が望ましい高齢者など、ハイリスクな場合のみ」と言う。
胃がんは転移する可能性があるかどうかで内視鏡治療か外科手術かに分かれる。転移する可能性のない早期胃がんであれば、内視鏡治療が標準となる。ガイドラインが2018年に変更され、ESDの絶対適応病変の基準が広がり、より多くの早期がんが内視鏡治療で取り除けるようになった。
「早期がんということは変わりありませんが、大きいからといって内視鏡治療では治らないという時代ではありません。今後、さらに適応が拡大されるようです」(野中医師)
■セカンドオピニオンとるべきケース
「内視鏡治療か外科手術かで悩む症例の場合にもかかわらず、手術しか選択肢を提示されない場合はセカンドオピニオンを検討してみてもよいでしょう」と鈴木医師は説明する。
内視鏡治療か外科手術かで悩む症例は、先に内視鏡治療をおこない病理検査で最終診断をし、追加手術をするかどうか決めるのが主流だ。