いま、インスタグラムがはやっていて、スマホで撮影した写真が世界を駆け巡っています。派手なほうが人に受けるから、実際の色とかけ離れ、それがだんだん人の目を毒しているというか、本物の色がだんだんわからなくなってきている。iPhoneで撮って、実物と見比べると、「えっ、こんなに違うよ」と、びっくりしますよ。

 ぼくもデジタルカメラを使っていますが、写っているものをつぶさないで出すとか、強調するとか、RAWのよさを最大限に生かしています。レタッチと組み合わせて、もっといい作品がつくれる、という感じですね。

■被写体に対するリスペクトを

 でも、合成はしません。比較明合成とか。ホタルなんか、ちょびっとしかいないやつを比較明合成でいっぱいにするっていうのは、やる気がしないし、やりません。何か大切なエッセンスが失われる気がしますから。

 星にしても露出はだいたい30秒。それ以上の露出は基本的にしないですね。星の自然な姿、星座とか銀河とか、そういうものが地上の風景といっしょに写っていればいいな、という感じです。

 都会の星空の写真も見かけますが、実際はそういうふうに見えていないわけだし。その場所のハーモニーを無視しているというか、被写体に対するリスペクトがないと感じますね。都会のような明るい場所で星を写してみたいという気持ちはわかるけれど、作品づくりのためのただの材料として星を扱っているにすぎない。自分の自然とのつきあい方からいうと、そういうのはあり得ないよね、という感じです。

 やはり、いろいろな自然の状況がピタッと自分に向いてくれた状況というか、そういうものを目指して撮るほうが面白みがあるし、それが自然風景を撮る醍醐味です。(聞き手・構成/編集部・米倉昭仁)

※『アサヒカメラ』2020年3月号より抜粋。

 高砂さんはさらに、JPEG画像とレタッチ画像を並べたうえで、レタッチの実践方法や、合成写真とフォトコンテストの関係などについても語っている。

『アサヒカメラ』3月号では、高砂さんのほか、中西敏貴さん、宮武健仁さん、下瀬信雄さん、織作峰子さん、中藤毅彦さん、横木安良夫さん、ハナブサ・リュウさんが、合成と加工に関する考えを明かしている。

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