一方、後輩と絡むときにはまた別の一面を見せる。同じ事務所の後輩にはバラエティーでも容赦なく冷たく当たり、徹底的にイジり倒す。自分よりキャリアの浅い芸人に対しても、強気でガンガン攻めていって、運動部の先輩のような調子でからかってみせたりする。

『ナカイの窓』(日本テレビ系)では、日替わりサブMCというシステムが採用されていて、MCである中居の隣には毎回違った芸人が出ていた。山里亮太、近藤春菜、陣内智則などがこの番組でサブMCを務め、中居にイジられてきた。

『ナカイの窓』では、中居が主導してときに芸人に対してきついドッキリを仕掛けることもあった。でも、それは愛情の裏返しでもある。裏番組に出ていた山里が復帰するときには、中居が怒っていると聞かされていた山里が恐る恐る中居に歩み寄ると、中居は笑顔になって山里を抱き締めた。その瞬間、山里は感極まって目に涙を浮かべていた。

 一方、中居には一種の冷たさを感じることもある。冷たさというのは決して悪い意味ではなく、番組を進行させるMCには不可欠の能力だ。出演者やスタッフの言うことを全部聞いてそれに従っていたら、番組はまともに進んでいかない。MCにはそれらの取捨選択をする権限があり、そこが腕の見せどころなのだ。

 今の時代、芸人がバラエティー番組を席巻していて、その場では芸人同士の内輪ノリが支配的になっている。でも、中居はあえてそこに加わらず、ときには冷たく突き放すことがある。なぜなら、それこそが見ている人にとってはリアルだからだ。芸人同士のノリよりも、MCとしての職務を優先する。彼は冷たいのではなく、テレビを見ている人に温かいだけなのだ。

 中居は、シリアス系の番組のときには襟を正して、締まりのある進行をする。一方、バラエティー番組で場の雰囲気がゆるんでいるときには、あえて強気に振る舞って活を入れることもある。そのさじ加減が絶妙なのだ。

 中居は『笑っていいとも! グランドフィナーレ』(フジテレビ系)でも、バラエティー番組への思い入れを熱く語っていた。彼はこれからもMCを自らの職務として、テレビという戦場で生きていくのだろう。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?